2019 Fiscal Year Research-status Report
薬学生・薬剤師の「対人援助力」養成のための新しい実践的教育プログラムの構築
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17K08472
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
伊原 千晶 京都先端科学大学, 人文学部, 准教授 (80288589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 美和子 日本大学, 薬学部, 教授 (00237504)
松村 人志 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50173886)
松島 哲久 大阪薬科大学, 薬学部, 研究員 (60209541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬学教育 / 対人援助 / 臨床心理学 / カリキュラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「対物から対人へ」と職能の変革を迫られている薬剤師が、対人援助職として十全に機能するために必要な知識内容、技能・態度の習得方法について検討し、教育プログラム開発を目的としてきた。また薬学生対象の教育プログラムも同時に検討している。 その成果の一部として、研究代表者が私立大学薬学部において薬学入門・臨床心理学・カウンセリング論の授業を実施した際に収集した実践的データに基づき、International PsychoOncology Society(IPOS)において学会発表を行った。教育によって薬学生が、抗がん剤投与に関わるがん患者の心理的問題に関心を持つように態度変容すること、がん患者への服薬指導に対しても本研究が寄与できることを示唆した。また研究代表者はアジア薬学教育学会にも参加し、海外の研究者に研究成果を紹介した。 同時に研究代表者は、2019年9月から公益社団法人日本心理学会「災害からの復興のための実践活動及び研究」枠で「薬局薬剤師を活用した高齢被災者への支援およびメンタルケアシステム構築に関する研究」に対する助成を受けた。この研究は西日本豪雨災害被災者に対する薬剤師の心理的支援に特化した調査を目的にしており、一般的な服薬指導場面における患者・他職種とのディスコミュニケーション解消をテーマとした本研究とは異なる。岡山県薬剤師会・病院薬剤師会の協力を得て、被災地支援に従事した薬剤師のストレス調査を実施したが、関係薬剤師に対してこれまでの研究報告の一部を提供し、成果の普及を行った。その意義が認められ、「薬剤師のための臨床心理学講座」開催が決定、準備を整えたが、新型コロナウィルスによる研修会自粛の流れから、年度内開催は不可能となった。 徳島大学薬学部における学生対象研修会も、同様の理由で開催不能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度までの進捗の遅れについては、研究代表者のリウマチ罹患・近親者の介護といった個人的事情が最大の理由であった。迅速で十分な連絡や対応が不可能となり、研究組織を刺激して、研究を前に進めることができなかった。 今年度は、研究を進めるべく岡山県で薬剤師による研究会を組織し、研修会実施に向けて活動し始めたところで、新型コロナウィルスによる集会・移動の制限が発生し、実行することができなかった。学生対象の研修会についても、同様の事態が発生した。 また、教育内容に関わる研修会受講・学会での発表も計画していたが、2月以降ほとんどの会合がキャンセルとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の体調は改善してきたが、新型コロナウィルス対策で、移動や集会の開催にかなりの制限が掛けられるため、可能な事から実施する、という方針で研究を進める。オンラインでの研修会の開催を試み、現在のコロナウィルス対策下でも、研修会の実施を試みる。同時に、今後に向けて、オンライン研修会の可能性についての実践データの収集にも努める。また研究代表者は引き続き、私立大学薬学部における授業を実施するため、実践データを収集する。 岡山県における「薬剤師のための臨床心理学講座」研修会においては、心理学・臨床心理学・精神医学的な知識を教授し、薬剤師にとって必要な知識を抽出する。同時に、こちらで作成したシナリオに基づいた模擬患者と、薬剤師の具体的やりとりを検討し、必要な教育内容を精査していく。 学生対象の研修会についても、オンライン開催が可能かどうかを探索する。 一方、昨年度交流できた海外の研究者とは、共同研究実施の可能性について検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究代表者のリウマチ罹患や親族の介護のため、2年以上、研究の進捗が遅れた。2019年度には国際学会での発表や研究組織の形成など、研究を進め始めたが、再度2019年度末からは、コロナウィルスの感染拡大に伴い、県をまたぐ出張や研修会の開催など、計画を具体的に進めることに支障が発生し、結果的に次年度使用額が発生した。 今年度については、岡山での薬剤師対象の研修会を実施すると共に、その結果を分析し、プログラム開発を進める。また、可能であれば、ドイツ・ハイデルベルグ大学での新規教育プログラムについての視察、国際的な共同研究などを実施すべく、海外出張も実施する。
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Research Products
(1 results)