2020 Fiscal Year Research-status Report
薬学生・薬剤師の「対人援助力」養成のための新しい実践的教育プログラムの構築
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17K08472
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
伊原 千晶 京都先端科学大学, 人文学部, 准教授 (80288589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 美和子 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00237504) [Withdrawn]
松村 人志 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50173886)
松島 哲久 大阪薬科大学, 薬学部, 研究員 (60209541)
見尾 光庸 就実大学, 薬学部, 教授 (70190600)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬学教育 / 対人援助 / 臨床心理学 / カリキュラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「対物から対人へ」と職能の変革を迫られている薬剤師が、対人援助職として十全に機能するために必要な知識内容、技能・態度の習得方法について検討し、教育プログラムを開発することを目的としてきた。本年度は「薬剤師のための臨床心理学講座」を継続的に開催し、薬剤師業務における心理学的・臨床心理学的・精神医学的知識の有用性について調査した。具体的には2020年7月~2021年1月にプレ・イベントの後、6回に亘って体系的な講義を実施しウェブアンケートにて業務への有用性や重要性を質問した。講義内容は、前半3回の基礎編では臨床心理学の主要理論・基礎心理学の主要分野について概説し、後半3回の応用編では、精神医学的診断、統合失調症・うつ病・人格障害などの精神疾患、心理アセスメントの実際などに、Mental Health First Aid、LGBTQ+についての知識など、対人援助職として患者・家族に関わる際に必要な知識も加えて、より実践的な内容とした。コロナ禍の開催となり、全回Zoomによるオンライン開催となったが、参加者の負担感はあまりなく、また全国からの参加が可能となり、研修成果を挙げることができた。研究結果については、現在国内・国外の学会発表に投稿中である。 2019年9月から開始した公益社団法人日本心理学会助成研究「薬局薬剤師を活用した高齢被災者への支援およびメンタルケアシステム構築に関する研究」においては、西日本豪雨災害において被災者支援を担った薬剤師の心理的ストレスについて調査を実施した。調査結果から、被災者の支援と共に、薬剤師自身をストレスから守るために、災害支援薬剤師教育には臨床心理学教育内容が必要であることが明確化され、本研究の一部として活用可能であった。研究成果については、国内の学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「薬剤師のための臨床心理学講座」において、体系的・継続的な教育が実施可能となり、現場で薬剤師として勤務している参加者から、直接的な業務への結び付け方についてのデータを得ることができ、今後のカリキュラム開発に有用な知見が得られた。また、災害支援薬剤師に対する臨床心理学的教育の必要性が認められ、今後の課題が明確化された。 一方、新型コロナウィルスによる集会・移動の制限が発生し、知識の伝達は可能であったが、態度や面接技法についての研修を実行することができなかった。学生対象の研修会についても、同様の事態が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤師対象では、昨年度の研究結果を基に、対面での研修会が可能となれば、知識の伝達に終始した既開催の研修会から発展して、カウンセリング的応答の練習や、対人援助職としてのあり方等の技法面の研修会を開催し、実際の服薬指導場面での応用について、更に研究を進める。また、災害支援薬剤師に対する教育内容について、Psychological First Aidなども含めた、薬剤師への支援を実施することによって、被災者への支援も可能にするような教育内容の抽出を試みる。 学生対象には、新型コロナウィルスによる様々な制限が解除されて来れば、薬剤師同様の研修会を実施することを試みる。
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Causes of Carryover |
本研究計画においては、薬剤師・薬学生を対象とした研修会の実施が最も重要となるが、2020年度は1年間を通して、対面での集合研修の実施が極めて困難であったため、知識を伝達する研修会のみの開催しかできず、応答や態度についての実地研修会を実施できなかった。また薬学生対象の研修会については、大学の授業の休講・補講、薬学生の実務実習の実施などでいずれの大学もカリキュラムの調整に翻弄されており、カリキュラム外の研修を実施することは困難となった。 本年度において、新型コロナウィルス感染症が一定の終息をみて集合研修が可能になった時点から、未実施の研修を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)