2018 Fiscal Year Research-status Report
Association analysis between incidence of adverse events and time-concentration profiles of trace metals during platinum-based cancer chemotherapy
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17K08474
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
中村 任 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (80379411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細畑 圭子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (10547962)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 癌化学療法 / プラチナ |
Outline of Annual Research Achievements |
プラチナ系抗癌剤は生体内金属(バイオメタル)と相互作用することが推察される。これまで我々は、シスプラチン投与患者の血液サンプルを用いてプラチナならびにバイオメタルの血漿中濃度解析を行い、その結果、シスプラチン投与開始後には血液中の鉄が一過性に上昇することを報告してきた。この原因の解明を目的として、研究協力者とともに動物レベルでの検証を行った。 実験にはマウスを用い、シスプラチンを1週間に2回、腹腔内に繰り返し投与を行い、投与1時間後と次回投与直前(1回目の投与48時間後)に採血を行った。対照群としては、生理食塩水を投与したマウスを用いた。得られた血液サンプルについて湿式灰化を行い、ICP-MS法を用いて元素分析を行った。 シスプラチンの初回投与1時間後、すべてのマウスにおいて血中にプラチナが検出され、腹腔から血中にシスプラチンが移行したものと推察された。また、次回投与前までに血中プラチナ濃度は低下しており、シスプラチンが血中から速やかに消失したものと推察された。投与3週間目のシスプラチン投与群でも同様の傾向は認められたものの、1週目と比較して3週目の平均値は高値を示し、血中あるいは体内へのプラチナ蓄積の影響が考えられた。一方で、血中鉄濃度はシスプラチン投与後の経過時間に伴った有意な変化は認められず、また、対照群との間にも有意な差は認められなかった。したがって、臨床で認められたシスプラチン投与後の血中鉄濃度の一過性上昇は正常マウスへのシスプラチン腹腔内投与によって再現することは困難であると考えられた。一方、シスプラチン投与によって体内の鉄が置換されていないことを直接証明するデータは得られておらず、鉄を含めたバイオメタルについてシスプラチンの主要排泄臓器である腎臓や鉄の蓄積が豊富な肝臓における分布について検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の実験協力によってマウスを用いた検討を進めることが可能となった。動物実験は当初計画していなかったが、in vitroに加えてin vivoでの検証は必要であり、想定以上に研究を進めることができている。 一方で、当初予定していたプラチナ系抗がん剤の体内動態に関する血液中や組織中での結合タンパク質の同定については機器設定と定性・定量条件の検討中である。また、同位体解析については順次進めているところである。培養細胞を用いた検討については、基礎的な培養条件の設定が終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床で認められたシスプラチン投与後の血中鉄濃度の一過性上昇は正常マウスへのシスプラチン腹腔内投与によって再現することは困難であった。しかしながら、シスプラチン投与によって体内の鉄がプラチナと置換されていないことを直接示すデータは得られておらず、鉄を含めたバイオメタルについてシスプラチンの主要排泄臓器である腎臓や鉄の蓄積が豊富な肝臓における分布について検討を進める予定である。また、培養細胞系を用い、シスプラチンを含めたプラチナ系抗がん剤処置による細胞中バイオメタルの変動について引き続き検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
分析用カラムの入荷が遅れたため、一時的にLC分析ができなかったため。また、臨床検体が当初の予定通りに追加できなかったため。一方で、動物実験が可能となったことからin vivoでの実験を進めるとともに、引き続き培養細胞実験を行う予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Comparison of antiemetic effects of granisetron and palonosetron in patients receiving bendamustine-based chemotherapy.2018
Author(s)
Mayako Uchida, Tsutomu Nakamura, Yoko Makihara, Kimitaka Suetsugu , Hiroaki Ikesue, Yasuo Mori, Koji Kato, Motoaki Shiratsuchi, Keiko Hosohata, Toshihiro Miyamoto, Koichi Akashi.
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Journal Title
Pharmazie.
Volume: 73
Pages: 304-308
DOI
Peer Reviewed
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