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2017 Fiscal Year Research-status Report

糸球体から漏出したアルブミンに結合する脂肪酸及び薬物の腎尿細管移行特性と影響解析

Research Project

Project/Area Number 17K08475
Research InstitutionOsaka University of Pharmaceutical Sciences

Principal Investigator

永井 純也  大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (20301301)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsアルブミン / 尿細管上皮細胞 / 高タンパク結合性薬物 / エンドサイトーシス
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、腎近位尿細管上皮細胞において、アルブミンに結合した脂肪酸および薬物が細胞内に移行する分子機構について明らかにするために、エンドサイトーシスあるいはトランスポーター介在性輸送の関与を中心に解析を進めた。
ヒト腎尿細管上皮細胞株HK-2細胞を用いて高タンパク結合性薬物ドキソルビシンの細胞内取り込み解析を行った結果、アルブミン共存下において明確な温度依存性が見られた。また、アルブミン取り込み阻害をする微小管重合阻害剤やクラスリン依存性エンドサイトーシス阻害剤によりアルブミン共存下ドキソルビシン取り込みは阻害された。以上より、アルブミンに結合したドキソルビシンはアルブミンと同様、エンドサイトーシスを介した経路によって細胞内に移行することが示唆された。
また、BODIPY FL prazosin(蛍光標識性プラゾシン)の細胞内取り込み解析を行った結果、アルブミン非共存下、あるいは共存下のいずれにおいても明確な温度依存性が見られた。さらに、アルブミン非共存下において、非標識プラゾシンや、有機カチオントランスポーター阻害剤のシメチジンによりBODIPY FL prazosinの取り込みが阻害された。加えて、アルブミン共存下において、アルブミンの取り込みを阻害するクラスリン介在性エンドサイトーシス阻害剤や微小管重合阻害剤によってもBODIPY FL prazosinの取り込みが阻害された。
以上の結果により、アルブミンに結合したドキソルビシンやプラゾシンはクラスリン介在性エンドサイトーシスにより細胞内に移行することが示唆された。従って、タンパク結合性の高い薬物においては、糸球体ろ過バリア機能が低下するような腎障害時に、腎機能正常時とは異なる腎挙動を示す可能性を考慮する必要があるものと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

アルブミンに結合している低分子薬物は、遊離体の場合とは異なった細胞内移行特性を示すという新規の興味ある知見が得られたことから、上記の区分として判断した。

Strategy for Future Research Activity

これまでの本課題に関連する研究は、培養腎近位尿細管上皮細胞を用いた検討に留まっていたことから、in vitroで得られた結果をin vivoで検証することを予定している。
すなわち、タンパク尿発症モデル動物に高タンパク結合性薬物を単回あるいは複数回投与し、その腎蓄積性および腎機能変化について解析を行う。糸球体バリア機能低下に伴うタンパク尿を発症する実験動物としては、アドリアマイシンあるいはピューロマイシンアミノヌクレオシド(PAN)誘発腎症モデルや2型糖尿病モデルラット(OLETF)などを考えている。投与薬物として、ピタバスタチン(OATP1A2基質として使用、in vitro実験の関係性を解析)、プラゾシン(腎正常時:血中代謝物は検出されず、ヒトで大半が糞中排泄される薬物)あるいはシスプラチン(長い半減期を有するβ相があり、アルブミンに強固に結合していることから、糸球体から漏出したアルブミンとともに尿細管で再取り込みを受ける可能性が高い)を用いる。
また、アルブミンに結合している脂肪酸の挙動に関わる分子についても明確にするため、脂肪酸トランスポーターFATPの腎尿細管上皮細胞における発現局在に関する解析も併せて行うことを予定している。
平成29年度から当研究室の専任教員である竹林裕美子助教が着任したことから、本研究のより効率的な推進を図るため、研究分担者として参画して頂くことを予定している。

  • Research Products

    (8 results)

All 2018 2017 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (6 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Cobalt chloride induces expression and function of breast cancer resistance protein (BCRP/ABCG2) in human renal proximal tubular epithelial cell line HK-2.2017

    • Author(s)
      Nisihihashi K et al.
    • Journal Title

      Biol Pharm Bull

      Volume: 40 Pages: 82-87

    • DOI

      10.1248/bpb.b16-00684

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] アドリアマイシン誘発タンパク尿発症マウスの腎臓におけるHIF-1標的トランスポーター遺伝子の発現変動2018

    • Author(s)
      久保和穂、前田拳太、伊東里紗、小松純也、竹林裕美子、宮崎 誠、永井純也
    • Organizer
      日本薬学会第138年会
  • [Presentation] アルブミン共存時における高タンパク結合性薬物の腎尿細管上皮細胞への取り込み特性:ドキソルビシンを用いた検討2017

    • Author(s)
      橋本亜紀、西村郁美、竹林裕美子、宮崎 誠、永井純也
    • Organizer
      第67回 日本薬学会近畿支部総会・大会
  • [Presentation] アルブミン共存時における高タンパク結合性薬物の腎尿細管上皮細胞への取り込み特性:BODIPY FL prazosinを用いた検討2017

    • Author(s)
      西村郁美、橋本亜紀、竹林裕美子、宮崎 誠、永井純也
    • Organizer
      第67回 日本薬学会近畿支部総会・大会
  • [Presentation] 培養ヒト腎近位尿細管上皮細胞HK-2におけるHIF-1標的トランスポーター遺伝子 産物の発現および機能に及ぼすチアゾリジン系抗糖尿病薬の影響2017

    • Author(s)
      柴田 葵、村田 匡、黒田幸美、竹林裕美子、宮崎 誠、永井純也
    • Organizer
      第67回 日本薬学会近畿支部総会・大会
  • [Presentation] 腎近位尿細管上皮細胞におけるアルブミン誘発HIF-1活性化に関与する脂肪酸の同定解析2017

    • Author(s)
      永井純也、竹原一揮、仲川直輝、村田 匡、柴田 葵、竹林裕美子、宮崎 誠
    • Organizer
      第39回 生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
  • [Presentation] ヒト腎近位尿細管由来細胞HK-2におけるアルブミン存在下ドキソルビシンの細胞内蓄積に及ぼすエンドサイトーシス阻害剤の影響2017

    • Author(s)
      永井純也、橋本亜紀、西村郁美、竹林裕美子、宮崎 誠
    • Organizer
      日本薬物動態学会第32回年会
  • [Remarks] 大阪薬科大学 薬剤学研究室

    • URL

      http://www.oups.ac.jp/kenkyu/kenkyuushitu/yakuzai.html

URL: 

Published: 2018-12-17  

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