2019 Fiscal Year Annual Research Report
Transport mechanisms of fatty acids and drugs bound to glomerular filtered albumin in renal proximal tubule
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17K08475
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
永井 純也 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (20301301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 裕美子 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (50805299)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腎近位尿細管上皮細胞 / HIF-1 / アルブミン / アラキドン酸 / プロスタグランジンE2 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病、高血圧および脂質異常症などの生活習慣病の発症に伴い、腎糸球体ろ過バリア機能が破綻し、腎機能正常時にはほとんど糸球体ろ過されないアルブミンなどの血漿タンパクが尿細管管腔中に漏出するようになる。アルブミンが過剰に尿細管管腔中に漏出することは尿細管上皮細胞障害を引き起こし、より重篤な腎不全への進行に関与することが示唆されている。我々は、ヒト腎近位尿細管由来HK-2細胞にアルブミンを曝露することにより低酸素誘導因子HIF-1が活性化すること、そのHIF-1活性化にはアルブミンそのものよりもむしろ、アルブミンに結合している脂肪酸が重要であることを見い出した。さらには、アルブミンに結合する脂肪酸の中でもアラキドン酸がHIF-1活性化に関与する可能性を示唆してきた。最終年度については、アルブミン誘発HIF-1活性化におけるプロスタグランジンの関与について検討を進め、いくつかの重要な知見が得られたので以下に報告する。 実験方法については、以下の通りである、すなわち、実験にはHK-2細胞を用い、常法に従い培養した。アルブミン曝露後のプロスタグランジンE2(PGE2)生成量を評価する際には、アルブミンを加えた培地溶液をHK-2細胞に添加し、一定時間後の培地中に含まれるPGE2量をEIAキットを用いて測定した。 得られた結果は以下の通りである。すなわち、脂肪酸が結合したアルブミン処理によって、処理濃度依存的にPGE2生成量は増加した。一方、脂肪酸を除去したアルブミンで処理した場合には、培地中のPGE2量に顕著な変化は観察されなかった。また、脂肪酸除去したアルブミンとアラキドン酸をともに添加した場合も、PGE2の生成促進が観察された。 以上、腎近位尿細管上皮細胞へのアルブミンの曝露は、アラキドン酸カスケードを介したPGE2生成の促進を惹起し、様々な生理作用を誘発する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)