2017 Fiscal Year Research-status Report
心臓移植時のアミオダロンによる不整脈管理が免疫抑制剤の薬物動態に及ぼす影響の解明
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17K08476
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
河内 正二 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (30549308)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心臓移植 / 免疫抑制剤 / 薬物動態 / 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) / アミオダロン塩酸塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓移植前の致死性不整脈予防に用いるアミオダロン塩酸塩(アミオダロン)は消失半減期が長いため、一度副作用が発現すると、心臓移植が実施され投与を中止した場合でも遷延化しやすい。申請者は、これまでに大規模データベースの解析からアミオダロンが副作用として非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を高頻度に誘発すること、予備実験から、NASHでは肝臓での薬物代謝機能の低下が生じる可能性を見出している。NASHは食餌性モデルとして汎用されているメチオニン、コリン欠乏食(MCD食)をマウスに摂食させることにより誘導した。8週間後、MCD群の肝臓では薬物代謝酵素のCYP3A、胆汁輸送に関連するトランスポーターのBsepおよびNtcpのタンパク発現量は低下し、NASHでは肝臓での薬物代謝機能の低下に加え、胆汁の循環障害が生じている可能性が示唆された。これらの発現変化に影響する因子を特定するため、腸内細菌由来のエンドトキシン等に着目して検討した。小腸炎に対して抗炎症作用を有するアルギン酸ナトリウム(SA)群では、MCD群に比べて、肝臓における脂肪沈着やTNFαの発現上昇、血漿中のAST値の上昇が抑制されていた。また、MCD群では小腸粘膜の変性および損傷が認められ、SA群ではこれらが改善していた。このことから、小腸由来の炎症性メディエーターの肝臓への移行がNASHの病態の進行ならびに肝臓でのCYP3A、BsepおよびNtcpの発現に関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた①肝臓でのCYP3Aと胆汁輸送関連トランスポーターの発現変化の解析は終了し、②肝臓でのCYP3Aと胆汁輸送関連トランスポーターの発現変化に影響を及ぼす因子の解明についても一部検討は終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
NASHモデルを用いて、薬物の血中濃度等を指標として、肝臓での薬物代謝機能の低下や胆汁の循環障害による薬物動態への影響を機能的に評価する。医薬品有害事象データベースを使用して、アミオダロンのNASHの発症リスクとそれに関連する要因として投与期間と累積投与量に着目して検討する。基礎研究と大規模データベースの解析から、NASHの発症が薬物動態に及ぼす影響を明らかにし、今後予定しているアミオダロン服用患者での心臓移植後における免疫抑制剤の血中濃度解析の臨床研究に繋げる。
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Causes of Carryover |
データベース解析ソフトの年間保守点検費として「その他の経費」として計上していたが、他の予算から計上したことから、使用額が予定よりも少なくなった。研究物品の購入や論文投稿費用などに使用する予定である。
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