2018 Fiscal Year Research-status Report
がん転移治療のための新規オーダーメード型転移臓器指向性エクソソーム製剤の開発
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17K08477
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
櫨川 舞 福岡大学, 薬学部, 助教 (10509186)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エクソソーム / 接着因子 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、(1)肺転移モデルマウスより抽出した血清または尿由来エクソソームに発現する接着因子の経時的発現量の変化に関する評価(ウエスタンブロッティング)を行った。さらに、(2)siRNA搭載の血清・尿由来エクソソーム製剤の細胞導入効率(in vitro)、(3)肺転移モデルマウスを用いたsiRNA搭載エクソソーム製剤のがんの肺転移抑制効果(in vivo)について評価した。まず、(1)血清と尿由来のエクソソームとでは、それに含まれるタンパク質の組成が異なり、接着因子ICAM-1、VCAM-1、インテグリンは血清由来エクソソームに多く含まれることに対し、尿由来エクソソームでは、検出限界以下だった。(2)siRNA搭載エクソソーム製剤のがん細胞に対する細胞導入効率は、血清および尿由来のエクソソーム共にコントロールと比較して有意に高く、特に血清由来のエクソソーム製剤で顕著だった。(3)肺転移モデルマウスを使用した製剤の有効性評価では、血清および尿由来エクソソーム製剤は、コントロールと比較して有意に肺転移抑制効果を示した。以上より、エクソソームを用いたsiRNAの細胞内送達は有用であることが示された。しかしながら、転移先である肺への集積性については未解明であり、集積性を規定する因子の特定には至っていない。そこで、2019年度は、2018年度の結果を踏まえ、エクソソームに含まれる経時的に変化するタンパク(特に表面分子)とがん転移臓器への集積性との関連性を明らかにする。本研究成果については、学会および学術論文等で成果報告を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの研究遂行ができており、2018年度内の研究成果としてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究計画・方法は、以下の通りである。 がん転移モデルマウスを用いて、担癌期間0, 7, 14, 21日目に採血・採尿を行い、血清及び尿よりエクソソームを回収する。採血、採尿を行った同一個体のマウスに対し、蛍光標識した各種エクソソームを尾静脈投与し、エクソソーム自体の肺への集積性を分子イメージング装置により評価する。以上の結果と担癌期間に伴い変化するエクソソームに含まれるタンパクと肺への集積性との関連性を検討する。さらに、エクソソームを肺に誘導する関連タンパクを抽出し、エクソソームの最適抽出タイミングを予想し、自己エクソソーム製剤を用いた転移抑制治療の有用性について検討する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】2018年度は、おおむね順調に研究成果を得たが、エクソソーム発現タンパクと臓器指向性の関連性を検討するための実験が本年度中に実施できなかったため、次年度に繰り越して実施する。 【使用計画】2019年度は、エクソソーム発現タンパクと臓器指向性の関連性を検討するための実験の動物代および試薬代として、2018年度使用予定だった25万円を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)