2017 Fiscal Year Research-status Report
胎児期バルプロ酸暴露誘発自閉症スペクトラム障害におけるアストロサイト分泌因子異常
Project/Area Number |
17K08478
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
渡辺 拓也 福岡大学, 薬学部, 助教 (90509647)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アストロサイト / 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児期にバルプロ酸を暴露されたマウスは自閉症様行動と神経機能変化を示すが、その発現機序は不明な点が多い。アストロサイトは神経機能を調整しており、自閉症スペクトラム障害の病因候補遺伝子の多くはアストロサイトに発現している。このことから、胎児期にバルプロ酸を暴露されたマウスのアストロサイトが神経機能に与える影響について検討を行った。 バルプロ酸を胎児期に暴露された新生児マウスから単離培養したアストロサイト(バルプロ酸アストロサイト)ならびに生理食塩水を胎児期に暴露された新生児マウスから単離培養したアストロサイト(コントロールアストロサイト)のシート上に神経細胞を培養した。バルプロ酸アストロサイト上とコントロールアストロサイト上の神経細胞の樹状突起長に差は認められなかった。また、微小抑制性シナプス後電流の振幅と頻度にも差は認められなかった。さらに神経突起伸長に影響する分子のmRNA発現量は両アストロサイト間で差は認められなかった。しかし、興奮性シナプス伝達に関連する分子やNotchシグナルに関連する分子のmRNA発現量が、コントロールアストロサイトと比較してバルプロ酸アストロサイトで増加していることが明らかとなった。 本結果から、バルプロ酸アストロサイトは興奮性シナプス伝達ならびに神経細胞とのNotchシグナルを介した相互作用に影響することが示唆された。今後は、それら分子の機能に着目し、バルプロ酸アストロサイトの神経機能への影響を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バルプロ酸アストロサイトの神経突起形成への影響ならびに抑制性シナプス伝達への影響も解析することができた。また、バルプロ酸アストロサイトにおいて、mRNA発現量が変化している分子を探索することができたため、今後はその分子に着目して研究を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
興奮性シナプス伝達に対するバルプロ酸アストロサイトの影響を検討する。変化が認められた分子の機能に着目し、電気生理学的にシナプス伝達能の解析を行い、蛍光色素を用いてシナプス形成能を評価する。
|