2018 Fiscal Year Research-status Report
胎児期バルプロ酸暴露誘発自閉症スペクトラム障害におけるアストロサイト分泌因子異常
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17K08478
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
渡辺 拓也 福岡大学, 薬学部, 助教 (90509647)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アストロサイト / 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎仔期にバルプロ酸を暴露されたマウスの培養アストロサイト(バルプロ酸アストロサイト)では、Notchシグナルに誘導される分子のmRNA量が増加することを、前年度の検討で認めた。そこで、本年度は、そのアストロサイトが神経機能に対する影響を検討した。 アストロサイトのアイランドを作製し、その上に一つの神経細胞を培養し、オータプス標本を作製した。バルプロ酸アストロサイト上で培養した神経細胞の興奮性後シナプス電流の振幅は、正常対照のアストロサイト上の神経細胞のものと比較して、増加が認められた。一方、微小興奮性後シナプス電流の頻度には変化は認められなかった。さらに、一過性高浸透圧刺激により解析した開口放出可能なシナプス小胞のサイズとシナプス小胞数は、バルプロ酸アストロサイト上で培養した神経細胞において増加が認められた。以上の結果から、バルプロ酸アストロサイトは興奮性神経伝達を増強することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自閉症スペクトラム障害の病態仮説では、興奮性神経伝達と抑制性神経伝達のバランスが興奮性側に傾いていることが考えられている。本研究結果ではバルプロ酸アストロサイトは興奮性神経伝達を増強することが示唆されたため、自閉症スペクトラム障害の病態での興奮性側への傾きは、アストロサイトの機能変化を介した興奮性神経伝達増強が関与することが考えられた。従って、研究代表者の実験仮説を支持する結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
バルプロ酸アストロサイトが興奮性神経伝達を増強するメカニズムを解明するため、アストロサイトと神経細胞の相互作用に着目し、関与しうる分子を同定する。
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