2017 Fiscal Year Research-status Report
震災特有疾患に対する一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体の医薬品としての有用性評価
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17K08481
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
田口 和明 崇城大学, 薬学部, 助教 (90621912)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘモグロビン / リポソーム / 一酸化炭素 / クラッシュ・シンドローム / 赤血球 / 急性腎傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一酸化炭素結合 (CO) 型ヘモグロビン小胞体 (CO-HbV) が震災時に多発するクラッシュ・シンドローム治療薬としてのポテンシャルを有するかを評価することを目的とする。平成29年度はクラッシュ・シンドロームモデルラットの作製とCOのクラッシュ・シンドロームに対する治療効果をHbVと類似機能を有する赤血球 (RBC) を用いて検討を行った。 まず、クラッシュ・シンドロームモデルラットを作製し、生存率の評価を行った。その結果、生理食塩水処置群では圧迫開放6時間後より死亡例が急激に増加し、解放後9時間までに全例が死亡した。この結果より、クラッシュ・シンドロームに伴う急性腎不全の評価時間として圧迫開放後6時間が適切であると考えられた。一方、CO結合型RBC (CO-RBC) 処置群では圧迫解放24時間まで全例が生存し、COがクラッシュ・シンドロームの創薬シーズとして有望であることが明らかとなった。 次に、圧迫開放6時間後にCO-RBCがクラッシュ・シンドロームに伴う急性腎傷害に対する影響について検討を行った。その結果、生理食塩水処置群では尿素窒素、血清クレアチニン値が上昇し、明らかな急性腎傷害が確認された。しかしながら、CO-RBC処置群ではこれらの上昇は抑制され、腎保護効果が確認された。また、予備試験としてCO-HbVを1400 mg Hb/kgの投与量でクラッシュ・シンドロームモデルラットに投与したところ、血清クレアチニン、尿素窒素の上昇はCO-RBC投与時と同様に抑制されており、CO-HbVにおいてもクラッシュ・シンドロームの伴う急性腎不全を抑制する可能性が示唆された。平成30年度は、クラッシュ・シンドロームモデルラットに対してCO-HbVを投与量依存的に投与し、CO-HbVの至適投与量の設定と急性腎傷害に与える影響について詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CO-HbVを用いた検討が予備試験にとどまっており、申請段階の研究計画よりやや遅れている。しかしながら、平成29年度内にクラッシュ・シンドロームモデルラットの作製と急性腎傷害の評価時間の設定は完了しているため、平成30年度にCO-HbVを用いた検討を実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
クラッシュ・シンドロームモデルラットにCO-HbVを投与量依存的に投与し生存率の評価を行う。得られた結果より、CO-HbVの至適投与量の設定を行う。また、クラッシュ・シンドロームに伴う急性腎傷害についても評価を行う。具体的には、圧迫開放6時間後に血液と腎臓を回収し、生化学パラメータ (クレアチニン・尿素窒素など)と組織形態変化 (PAS染色、免疫染色など) によって評価する。また、蓄尿を行い尿検査 (クレアチニン、ミオグロビン、蛋白尿など) も行う。
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