2017 Fiscal Year Research-status Report
大規模コホートを用いた抗てんかん薬多剤併用時の有害事象発生リスクの解明
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17K08483
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Research Institution | National Epilepsy Center, Shizuoka Institute of Epilepsy and Neurological Disorders |
Principal Investigator |
山本 吉章 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (60596245)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ポリファーマシー / てんかん / 有害事象 / 薬物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,日本の医療現場では多剤併用(ポリファーマシー)が問題となっている.この中でも難治てんかんは発作を抑制するために,複数の抗てんかん薬を長期間服用する必要があり,有害事象のリスクマネージメントが極めて重要である.国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターにおいて2,000~5,000人規模のコホートデータを利用し,抗てんかん薬による高アンモニア血症と脂質異常症の発症リスクを明らかにしてきた.本研究は2006年1月から2017年12月までに静岡てんかん神経医療センターを受診した27,234人の患者コホートデータを収集し,抗てんかん薬による薬疹,血液障害,電解質異常,肝障害の発現率とその危険因子を明らかにすることを目的とした.2017年度は23,432名のてんかん患者を対象として抗てんかん薬による低ナトリウム血症の発症リスクを検討した.調査期間中,CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)Grade1の低ナトリウム血症(血清ナトリウム値130~138 mEq/L)が5027人(21.5%)認められた.また,Grade3(120~130 mEq/L)とGrade4(120 mEq/L未満)の低ナトリウム血症がそれぞれ510人(2.2%),26人(0.1%)認められた.Grade3以上の低ナトリウム血症を目的変数と定義しロジスティック解析を行ったところ,低ナトリウム血症の発症は,バルプロ酸の併用によって1.3倍,カルバマゼピンの併用によって4.1倍に上昇することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23,432名のてんかん患者の血清ナトリウム値を調査したところ,CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)Grade 3以上の低ナトリウム血症(血清ナトリウム値130 mEq/L未満)が536名(2.29%)認められた.多変量解析の結果,低ナトリウム血症発症に寄与する危険因子はバルプロ酸の併用がオッズ比1.30倍(95%信頼区間1.07-1.57),カルバマゼピンの併用が4.05倍(95%信頼区間3.29-5.00)であった.一方,ゾニサミドの併用は低ナトリウム血症の発症を有意に低下させた(オッズ比0.62倍(95%信頼区間0.42-0.91)).
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Strategy for Future Research Activity |
静岡てんかん神経医療センターの大規模コホートを用いて抗てんかん薬による低ナトリウム血症の危険因子を同定した.本成果は2018年のAmerican Epilepsy Society (AES) 2018 Annual Meetingで報告し,本年度中に専門誌に投稿する.さらに,得られたコホートデータを利用して抗てんかん薬による薬疹と汎血球減少の危険因子を同定する.
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Causes of Carryover |
カルテ調査を担当する研究補助者の雇用が予定より遅れ,300,000円ほどの余剰金が生じた.今年度はこの余剰金を12か月分の人件費に充てる予定である.
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Research Products
(9 results)