2017 Fiscal Year Research-status Report
脳脊髄液のフルイッドダイナミクスにおける転写因子Pax6の機能解明
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17K08486
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲田 仁 東北大学, 医学系研究科, 講師 (60419893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隅 典子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00220343)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Pax6 / Sox2 / 交連下器官 / 上衣細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
対照である野生型マウスにおいて、出生後の異なるステージ(0日目、 7日目、14日目、21日目および28日目)での交連下器官(SCO)におけるPax6の発現を免疫染色法によって観察した。0日目において、SCOおよび第3脳室周辺の領域で、Pax6の強い発現が観察された。Pax6の発現は、SCOではステージが進行するに連れて(14日目以降)強くなるのに対して、第3脳室周辺領域では著しく低下した。 つぎに、側脳室および第3脳室腹側領域の上衣細胞におけるPax6の発現を、生後の異なるステージにおいて観察した結果、Pax6の一過性の発現が観察された。側脳室では、0日目においてPax6の強い発現が上衣細胞で観察されたが、28日目では発現が著しく低下した。一方、第3脳室の腹側領域では、0日目でPax6の発現は観察されなかったが、7日目では強い発現が観察された。以降のステージ(14日目および 21日目)では、Pax6の発現は著しく低下した。 さらに、Pax6が発現しているSCO領域がどの様な細胞から構成されているか、免疫染色法によって解析した。14日目においてSCOの各細胞マーカー(ニューロン:NeuN、アストロサイト:GFAP、ミクログリア:Iba1、幹細胞:Sox2)に対する免疫染色を行った結果、Sox2の強い発現が観察された。NeuNおよびGFAPの発現は観察されず、わずかなIba1の発現が観察された。 以上の結果より、SCOにおいて、Pax6の発現は生後も維持されており、Sox2が発現する神経幹細胞様の細胞が存在する可能性が明らかになった。また、上衣細胞におけるPax6の発現は一過性であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
市販されているSCO-spondinおよびトランスサイレチン(TTR)の抗体を用いて、免疫染色法によってPax6との共局在の解析を試みたが、どちらの抗体においても、バックグラウンドに比べて強いシグナルを得ることができなかった。また、Cre リコンビナーゼを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV-cre)の入手が遅れており、上衣細胞特異的なPax6欠損マウスの作成ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
異なるメーカーのTTR抗体を入手し、脳の異なる発達ステージにおいて、Pax6cKOマウスのSCOにおけるTTRとPax6の発現を解析する。 AAV-creを入手し、上衣細胞特異的なPax6cKOを作成し、免疫染色法によりSCOの構造およびTTRの発現を解析する。 当初の計画通り、Pax6cKO マウス(CAG-CreEsr1;Pax6-floxed)を用いて、胎生期または出生後に薬剤誘導的にPax6を欠損させたマウスにおいて、脳の全体的な構造およびSCOの形成・機能発現について免疫染色法により解析する。対照の野生型マウスおよびPax6cKO マウスからSCO 単離し、SCOの器官培養を試みる。
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Research Products
(1 results)