2018 Fiscal Year Research-status Report
精巣上体・前立腺の上皮細胞間クロストークの解明と雄性不妊マウスの解析
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17K08493
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉永 一也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (50136719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 直樹 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助教 (90304998)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 男性生殖器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目的は、男性不妊や前立腺がんの基盤となる精巣上体や前立腺を構成する上皮細胞の発生・分化や細胞間調節(クロストーク)の仕組みを明らかにし、上皮細胞の分化動態や生理機能などの未解決の基礎的な問題を細胞・組織~個体レベルで解決することである。平成30年度は、G-タンパク共役型ホルモン受容体LGR4遺伝子の男性生殖器官における発現解析と機能解析を行う目的で、LGR4の発現が著しく低下した変異雄マウス(LGR4Gt/Gt)について詳細な形態学的解析を行った。 その結果、成熟期の変異マウスでは精巣上体管の低形成及び精巣上体頭部の管腔拡張を認めた。そこで、幼若期における精巣上体管の伸長・分化と細胞増殖との関連について増殖細胞マーカーを用いて解析したところ、変異マウスの精巣上体管上皮および間質(間葉)を構成する細胞のマーカー陽性率が顕著に減少していることを見出した。この結果から、精巣上体の低形成は分化途上の構成細胞の増殖低下に起因することが示唆された。 また、男性生殖管の水分吸収に関与するエストロゲン受容体の発現パターンを調べた結果、野生型マウスでは出生時~成熟期に強い発現を認めた。これに対し、変異マウスでは出生時にすでに発現低下しており、その後さらに減弱し消失することを見出した。この結果から、LGR4の減少が精巣分泌液の吸収を制御する重要な因子の発現に影響を与え、変異マウスで観察された精巣上体管の拡張は、精巣分泌液の再吸収阻害に起因することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一定の研究成果を挙げ、学会発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
目標達成に向けて当初の計画を遂行する。
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Causes of Carryover |
(理由)旅費その他を他財源で補填したため。 (使用計画)繰越金は次年度分と合わせて効率的に使用する。
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Research Products
(2 results)