2017 Fiscal Year Research-status Report
非シナプス性結合に入力経路・細胞選択的に集積するNR3A受容体の機能的意義の解明
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17K08503
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 美和子 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (10431305)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | NMDA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
NMDA受容体サブユニットNR3Aは、生後1週頃にマウスの脳で一過性に発現が増加し、不要なシナプスの除去関わるという仮説が提唱されている。そして、NR3Aが“古典的”NMDA受容体が構成するチャネルに加わると、応答やCa2+透過性が減弱し、発達期のシナプス除去につながるとされているが、その実際の局在は全く不明である。こうした全体像を解明する目的で、初年度である今年度は主に解剖学的手法により検討を進め、マウスの脳における局在に関して以下の重要な3つの新規の知見を得た。1) 発達期・成体の脳において、シナプスではなく、非シナプス性結合に局在する 2) 成体の脳でも、特定の抑制性介在ニューロンに高レベルで発現が維持されている 3) 小脳では登上線維―抑制性介在ニューロン間の非シナプス性結合に選択的に局在する。また、各種マーカーとの多重蛍光 in situ ハイブリダイゼーションにより、小脳では分子層の介在ニューロンに、海馬や大脳皮質ではソマトスタチン陽性の抑制性介在ニューロンに、発達期・成体期を問わず一貫して強く発現していることを明らかにした。また、シナプス外とシナプス部の分子の同時検出に最適なフリーズレプリカ免疫電顕法により詳細に検討した結果、やはり古典的シナプスには集積せず、それ以外の部位に分布していることが明らかになった。これらの所見を足がかりとして、来年度以降はNR3A受容体を非シナプス部に集積させる分子メカニズムや、チャネル構成などについて検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に核となる新規の解剖学的所見を得ており、それらを元に来年度以降の機能的意義の解明に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
NR3A受容体を非シナプス結合に集積させるメカニズムの解明するために、国際共同研究を行う。具体的にはNR3Aと共局在し、生化学的複合体を形成する分子の探索とその生理機能の解析を予定している。
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