2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of three-dimensional laminated lymphatic network autografts based on adipose tissue-derived stem cells (ASCs)
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17K08506
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
浅野 義哉 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50359494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 浩 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20274748)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 三次元培養 / 人工脈管組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度までに開発したヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(hASC)を主体とする人工脈管ネットワーク組織についてさらに解析を重ねた。ASC積層培養における脈管新生関連因子の発現亢進がみられたが、積層組織における低酸素条件の要因も考えられたため、二次元での低酸素培養における変化も検証した。この結果、低酸素条件ではASC積層培養と同等の脈管新生関連因子の発現亢進がみられず、三次元培養環境における脈管新生の亢進がより明らかとなった。ASCを基盤とした血管網組織の移植については、皮下における長期生着について検討した。この結果、nudeマウスにおいても多核巨細胞の浸潤、移植組織の一部退縮がみられ、不完全な免疫不全がその要因ではないかと考えた。これに対して、移植後免疫抑制剤を用いた飼育を行った結果、上記免疫細胞の浸潤と移植組織退縮の改善をみとめた。この長期生着した移植組織ではヒトマーカー陽性を示す静脈様構造が形成され、電子顕微鏡像では複数層のヒトASC由来平滑筋様細胞と内皮細胞による構造をみとめた。これらより、移植人工組織における脈管構造階層化等のリモデリングが示唆された。一方、人工リンパ管網組織については、皮下移植の他、リンパ節郭清部への深部移植も行ない、この条件においてもリンパ流路形成の亢進を確認した。リンパ浮腫モデルによる検証、マウスASCを用いた同種移植、ASCのリンパ管内皮細胞分化については現在進行中で、研究期間の延長により引き続き実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記の通り、ASCを基盤とする人工血管網組織の作製と移植では比較的良好な成果が得られており、人工リンパ管網組織についてはヒト由来細胞を用いた組織のマウスモデルへの深部移植とリンパ流路形成誘導を確認した。マウスにおける同種移植については、マウスASCの採取、培養法について引き続き検討を行っている。本年度は、附属動物施設改修に伴う動物用X線照射装置の未設置、教育カリキュラム改編に伴う業務等でも遅れが生じたため、研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスASC採取と培養については、多数匹のマウスからの採取、explant methodの適用などにより、十分量のASCを得た上で同種移植の研究を進める。これにマウス大動脈および胸管から採取した内皮細胞を組み合わせて組織構築し、既にヒト由来細胞で行った移植実験に適用することで、同種移植の効果を明らかにする。並行して、市販のマウス間葉系幹細胞および内皮細胞を用いた実験も検討する。
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Causes of Carryover |
これまでヒトASC三次元組織化による脈管網形成促進とマウス移植での生着を確認したが、同種移植の為のマウス細胞分離培養では、収量改善のため条件検討を要している。また、病態モデル動物作製に用いる機器の施設改修に伴う新規納入の遅れから、上記移植の評価系を変更して解析を行なっている。加えて本年度は教育関連業務の一時的な増加もあり、行っていない実験があることから次年度使用額が生じた。上記の理由で研究期間を延長し、マウスASC採取と培養、マウス由来内皮細胞の分化、組織構築と同種移植の実験のため研究費を使用する。
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Research Products
(3 results)