2019 Fiscal Year Research-status Report
基底小体と付随中心子の連結機構についての分子細胞生物学的研究
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17K08523
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
萩原 治夫 帝京大学, 医学部, 教授 (80189464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有澤 謙二郎 帝京大学, 医学部, 助教 (40582846)
田中 秀幸 帝京大学, 医学部, 講師 (70343085)
宮下 俊雄 帝京大学, 医学部, 講師 (80415314)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ルートレット / 一次線毛 / 基底小体 / striated connector |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞には二つの中心子がペアで存在し、一方はもともと存在した中心子を核として形成される。もとから存在した方を母中心子、新しくできた方を娘中心子という。母中心子が基底小体に変化し、基底小体から一次線毛が伸長する。基底小体と娘中心子には、横紋を有する線維構造のstriated rootletが付随し、また、基底小体と娘中心子は同様の構造のstriated connectorで連絡する。これらの構造は、基底小体及び中心子上のC-Nap1を足場にしてrootletin分子が重合することで形成される。本研究の目的は、これらの線維状構造の構築と機能を解明することである。 KD培養細胞株を用いて、C-Nap1のノックダウンによる線毛装置について細胞生物学的に解析した。C-Nap1の発現抑制により、基底小体や中心子に連絡しない多数のルートレットが形成され、rootletinの発現量も増加した。C-Nap1の発現抑制後も一次線毛は形成されたが、ノックダウン群で3.09±0.86mm、対照群で4.47±0.87mmで優位に短かかった。基底小体は付属中心子から離れ、両者間の距離はノックダウン群で1.28±0.68mm、対照群で0.56±0.16mmと有意に増加し、striated connectorによる連絡も不明瞭だった。Striated rootlet形成の核として新たな分子の存在が示唆され、striated rootletは線毛形成に関与することが示唆された。 Rootletinのノックダウンでは、多くの一次線毛に形態異常が見られた。細胞の接着能の低下により細胞中心部がドーム状にもりあがったことによる機械的圧迫が、異常線毛形成の一因と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C-Nap1をノックダウンした培養細胞株における一次線毛、striated connector、striated rootlet、基底小体、中心子についての細胞生物学的解析については順調に研究が進行し、C-Nap1に依存しないrootletの構築経路の存在を示すことができた。Rootletinのノックダウン実験における線毛および付属構造の追加解析についても順調に研究を進めることができ、その成果をロンドンの国際解剖学会で発表することができた。 市販の抗ARL13A抗体が認識する分子については解明が進まなかったが、新たなCEP分子がrootlet、connector形成に関与する可能性を見出したので、この分子について細胞生物学的に解析を行っている。新たに見出したCEP分子についてもsiRNAによるノックダウン実験を実施すべく準備を進めている。 培養細胞をもちいた抗rootletin抗体、R67抗体による免疫沈降実験については、十分な量の分子を回収するのが困難で、rootletinと相互作用する分子の解明については達成することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Striated rootletの構成分子として候補に上がっているCEP分子について、siRNAによるノックダウン実験などにより、形態学的および細胞生物学的に解析を行う。これまで行った実験試料を用いて線毛装置の各構成要素についての統計学的解析を行う。 Striated connector/striated rootletの新規構成分子の探索については、当初の計画を見直し、これらの構造分子のノックダウン実験から得られた試料を対照群と比較検討することにより、予算の範囲内で新規分子について分子生物学的に追求し、今後の研究の発展につなげる。 本研究課題でこれまで行ってきた研究成果を論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
物品費として、抗体、薬品、実験調整薬やプラスチック器具などの消耗品の購入に予定した予算は、ほぼ予定通り使用した。旅費としてトータルで320,000円計上していたが、大学支給の旅費を学会参加旅費にあてることができたので、これがそのまま未使用になった。また、論文投稿用に充てた予算も、今後投稿を予定しているが、124,000円が未使用であった。総額429,833円の未使用額は、令和2年度の研究実施において、計画している実験の消耗品の購入、論文投稿費用に充てる。
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Research Products
(3 results)