2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーとアルツハイマー病のβアミロイドペプチド蓄積機構の解明
Project/Area Number |
17K08524
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 礼典 東京医科大学, 医学部, 准教授 (50453725)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内原 俊記 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 副参事研究員 (10223570)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 / β-アミロイド / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者認知症の代表的疾患であるアルツハイマー病(AD)の発症機構は未だ明らかにはされていないが、AD患者の脳内に形成される老人斑(アミロイド斑)を構成する蛋白β‐アミロイドペプチド(Aβ)の蓄積がADの発症に深く関与していると考えられている。そのため、Aβの蓄積する原因を解明し、蓄積を阻害する方法を開発することは極めて重要である。 神経細胞内での浄化作用や栄養供給をつかさどるオートファジーという細胞内分解機構が、神経変性疾患に関与しているとの報告が近年なされている。我々は、オートファジーの機能不全により神経細胞内のAβが浄化できなくなり、Aβが蓄積することが、ADの発症機構に関与していると推察し、加齢もしくはADの進行とともにオートファジー機能がどのように変化するかを検討するために、オートファジーやエンドサイトーシスに関与する蛋白Beclin-1に着目した。癌組織では正常組織と比較して、オートファジーの機能が低下しているため、Beclin-1の発現は癌組織の方が低いことが知られている。我々は、Beclin-1に対する抗体を購入し、乳癌手術検体を用いて、癌巣の部分と正常の部分とを免疫組織化学的に検討したところ、癌組織におけるBeclin-1発現の低下が認められ、Beclin-1抗体の有用性が確認された。次に、ADモデルマウスTg2576の脳組織を用いて加齢もしくはADの進行とともにBeclin-1発現の変化を免疫組織化学的に検討した。6、11、18ヵ月齢のTg2576マウス脳組織におけるBeclin-1の発現を比較すると、月齢の経過とともにBeclin-1の発現が低下していた。Tg2576マウスでは加齢とともにAβが蓄積し、AD様の症状が進行していくことが知られているので、オートファジーの機能が低下がADの進行に関与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ADモデルマウスの脳組織が長期にわたり保存されていたため、抗原性が低下している可能性があり、免疫染色の条件決定に予想以上の時間が費やされた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ADモデルマウスの脳組織の抗原性が低下している可能性があるため、ADの進行に伴うオートファジーの機能変化の解析は、様々な年齢のヒト脳組織およびAD患者の脳組織を用いて、オートファジー機能の変化を検討する。 また、ADモデル細胞を用いてのオートファジーと細胞内Aβ蓄積との相関関係は当初、ADモデルマウスの胎児脳初代培養神経細胞を用いる予定であったが、初代培養神経細胞の作製に時間を要するため、マウス神経芽腫から樹立された細胞株N2aを基に作製されたADモデル細胞を用いて解析する。
|
Causes of Carryover |
免疫染色のための抗体の条件決定に時間を要したことから、物品の購入が当初の予定よりも遅延し、当該年度では物品購入が少なくなってしまった。当該年度で購入予定であった試薬や抗体の費用を次年度に用いる。
|