2017 Fiscal Year Research-status Report
マイクロウェーブ急速凍結法による機能的シナプスのコネクトミクス解析
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17K08525
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中舘 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (80372895)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コネクトミクス / 電子顕微鏡 / シナプス / 急速凍結 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、神経回路再編のメカニズムを形態学的、特に超微形態学的に解析することを目的に研究を行っている。視覚野神経可塑性 を神経回路再編のモデルとして用い、神経可塑性の変化を単一ニューロン上に分布する全スパインを網羅的に解析した。単眼遮蔽に伴う視覚入力バランスの差異を受けた視覚野内ニューロンを可視化するために、c-Fosを用いたActivity Mapping 法を併用し、Zif268やCREBのリン酸化、またFosBをターゲットに検討した。その結果、視覚野内ニューロンは視覚入力の差異を早期から感受していることを明らかにした。それゆえ、単一スパインから多数のスパインを伴った入力変化が短時間で引き起こされているものと示唆された。 そこで、視覚野4層の入力変異を感受したニューロンを単離し、電子顕微鏡を用いてシナプス結合の変化を解析した。その結果、Basal dendriteにおけるスパインに入力変化開始から経時的に形態変化が引き起こされていることを明らかにした。スパインの形態変化は、視覚入力が増強されたスパインでまず膨化と腫脹が起こった。その後、シナプスにおけるPSD部位の面積増加が引き起こされた。 スパイン数の増加はその後に引き起こされた。一方、入力が減少されたスパインでの形態変化は有意に認められなかったが、時間経過に伴ってスパイン数の減少が認められた。形態変化が引き起こされたスパインの割合と神経活動との相関を解析し、今後の研究の発展に寄与する結果を得た。 さらに、急速凍結置換法の予備実験を開始し、高感度で高解像度の像を観察可能な条件を検討し、今後の研究発展の糸口を掴んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初の予定通りおおむね順調に進展しており、次年度以降の研究遂行に支障はないものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は、1年目の研究基盤をもとに、さらなる進展へ向けて研究を行う予定にしている。 電子顕微鏡を用いた微細形態学的解析が本研究には必要なため、光学顕微鏡での解析より数段の時間と労力が必要である。FIB-SEM を用いた解析とともに、昨年度新たに開発した簡便な三次元再構築法を併用して解析していくとともに、連続写真を撮影するためにTEMでの解析に加え、SEMを用いた解析を検討している。SEMはTEMに比べ空間分解は低いが、広範囲を撮影可能である。そこでTEM用に処理したサンプルをSEMで解析可能かどうか手技を検討し、至適条件を突き詰め、網羅的な解析をより短時間で解析する予定である。
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Causes of Carryover |
予定通りの支出を計上したが、海外製品の金額変更などにより、上記繰越金が生じた。
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