2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08528
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鳥居 征司 群馬大学, 食健康科学教育研究センター, 教授 (40312904)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脱リン酸化酵素 / 分泌顆粒 / 膵島細胞 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞の機能不全は糖尿病の大きな要因であり、その生存・増殖機構の解明は重要である。β細胞の増殖や分泌能にとってインスリン受容体(IR)を介したシグナル伝達経路は重要で、申請者は分泌顆粒に局在する膜蛋白質フォグリンが、糖刺激による開口放出とともに細胞膜に移行しIRと一過的に結合することで、分泌インスリンのオートクライン作用を制御することを示してきた。本研究では、膵β細胞特異的フォグリン欠損マウスを使用してオートクライン作用が作動している生理的条件を明らかにする。また非増殖下でフォグリンの機能を阻害している分子を同定し、その機序を明らかにする。β細胞の増殖スイッチ機構を理解することは、関連する疾患の予測や予防、治療法の開発につながる。 フォグリン結合蛋白質の探索では、質量分析によって蛋白質分子A(未発表のため仮名)が判明した。その結合条件や生理機能について解析を進めたところ、フォグリン-IRとは別のA複合体として存在し、異なる細胞条件でフォグリンに結合してIRとの結合を阻害していることが分かった。興味深いことに、IRとは対照的に、細胞同志の密度が高く非増殖条件でフォグリンに結合していることが判明した。一方フォグリンとIRの複合体は、高脂肪食マウスにおいてβ細胞の代償性増殖が起きている条件でのみ検出された。また、膵ラ氏島で増殖性タイプのβ細胞はフォグリン欠損マウスでは少ないことが判明した。これらの結果から、フォグリンは結合タンパク質の切り替えを通じて、β細胞増殖のオンオフを行うスイッチとして機能している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規蛋白質の機能解析に予定していたマウスを用いた組織化学実験がやや遅れている。得られた研究結果を細胞レベルから個体レベルまでの統一されたものとするため、多様なアプローチで解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した蛋白質の解析結果をとりまとめ、論文として公表する。
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Causes of Carryover |
平成31年1月より研究代表者の所属が変更となり、新たな年度で業務が増加したため、新規蛋白質の機能解析に予定していた実験ができないことで未使用額が生じた。 新たなアッセイキットや試薬を確保して解析を行うこととし、未使用額をそれに充てたい。物品費はとくに遺伝子や抗体を使用したアッセイの費用である。人件費はマウス飼育および実験補助者の謝金である。
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