2018 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌代謝産物による消化管ホルモン分泌調節メカニズムの解明
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17K08529
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 貴司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80415231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北口 哲也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (60432374)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生理学 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで生細胞イメージングを用いたスクリーニング解析を行っていない腸内細菌代謝産物を小腸内分泌細胞株GLUTag細胞およびSTC-1細胞に投与し、細胞内カルシウム濃度変化への影響を測定した。その結果、吉草酸、プロピオン酸、サルコシン、プロスタグランジンE2といった物質を含む合計26種類の腸内細菌代謝産物の投与によって細胞内カルシウム濃度上昇が観察された。 一方、インドール-3-アセトアミドやグルコン酸を含めた合計5種類の腸内細菌代謝産物で細胞内カルシウム濃度低下が観察された。そこでまず、細胞内カルシウム濃度上昇が観察された腸内細菌代謝産物を投与した際のGLP-1分泌への影響をELISAによって解析した。その結果、吉草酸、プロピオン酸を含めた合計9種類の腸内細菌代謝産物によってGLP-1分泌が誘発されることが分かった。全反射蛍光顕微鏡を用いて、9種類の腸内細菌代謝物によって引き起こされるGLP-1分泌反応の可視化解析を行ったところ、それぞれの腸内細菌代謝物によって分泌顆粒の開口放出動態が異なっていた。 次に、次世代シークエンサーを用いて、GLUTag細胞およびSTC-1細胞に発現している各種受容体、チャネル、トランスポーター、ホルモン受容体の網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、カルシウム感受性受容体、アミノ酸受容体、短鎖脂肪酸受容体、グルタミン受容体だけでなく、オキシトシン受容体やアドレナリン受容体も発現していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GLP-1分泌を引き起こす腸内細菌代謝産物の同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス個体から急性単離した小腸組織または、マウス個体へ腸内細菌代謝産物を経口投与し、GLP-1分泌へ与える影響を検証する。
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Causes of Carryover |
初年度に購入を予定してた顕微鏡を共通機器を使うことにより節約し、ELISA測定に注力したため。次年度使用額を利用して、引き続きELISA測定を行う。
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Research Products
(6 results)