2019 Fiscal Year Research-status Report
洞房結節細胞のCav1.3-TRPM4機能連関と持続性内向き電流の分子機構の解明
Project/Area Number |
17K08537
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
豊田 太 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90324574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60238962)
林 維光 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80242973)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心臓 / 洞房結節細胞 / イオンチャネル / イオン透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓の洞房結節細胞で特異的に観察される持続性内向き電流(Ist)は心臓の拍動リズムを決めるペースメーカー活動において重要な電気現象であると考えられている。本研究課題は、Istの発生メカニズムを明らかにするために行なっている。我々はIstはNaイオンの細胞内への流入に起因する電流であるものの、その発生にはCaイオンを選択的に流入させるL型カルシウムチャネルCav1.3が不可欠であることを明らかにしている。 本プロジェクトは「Cav1.3を介したCa流入がNaチャネルであるTRPM4チャネルを活性化しIstが発生する」という仮説を検証することを目的として開始した。しかしながら、フランスのMangoni博士との共同研究で、TRPM4ノックアウトマウスにおいてもIstが観察されたために、Istを説明する別の機構の模索する必要性がでてきた。 一般に、L型カルシウムチャネルのCaイオン選択性は極めて高いことで知られており、Istを説明することが困難であると考えてきた。しかしながら、Istと関連があるCav1.3のイオン選択性については十分に明らかではなく、Cav1.3そのものがIstを発生する可能性は完全に否定できない。そこで、Cav1.3の細胞外Ca感受性、Na透過性などをパッチクランプ法で測定した。これらの実験結果をもとにCav1.3のイオン透過モデルを構築し、Istを発生するかどうかのシミュレーション実験を開始しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において掲げていた当初の作業仮説の検証は既に完了しており、おおむね順調に進展していると言える。しかしながら、本プロジェクトはIstの分子基盤のという大きな目標を含んでいるため、新たな仮説を構築が不可欠である。そのため、コンピューターシミュレーションによる理論研究の必要性が出てきており、それに向けて研究環境や新しい協力体制の整備が必要となってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、パッチクランプ実験結果に基づく、イオン透過モデルを構築し、Cav1.3がIstを発生する可能性を検証していく。当面は、パッチクランプ実験結果を精査し、より精度の高い実験データの取得めざす。また理論モデルの構築においてはコンピュータプログラミングが必須となるため、当該分野に精通した立命館大学の天野教授や姫野助教との協力体制を整えたところである。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、研究室での活動に制限が生じてきたときは、とりわけシミュレーション研究に時間に重点をおき、在宅でも研究が進められるように環境を整えていくつもりである。
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Causes of Carryover |
本年度は、仮説の転換期であり、実務以上に計画の策定に時間を費やした。結果、プロジェクトは1年間の延長を余儀なくされ、それに伴い予算を次年度に繰越す結果となった。
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