2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K08538
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 博紀 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00432451)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 島皮質 / うま味 / 味覚 / チャネル / 神経回路 / 錐体細胞 / イオンチャネル / パッチクランプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、島皮質における味覚情報処理の神経メカニズムを明らかにすることを目的にしており、味覚情報処理に関与する因子として、島皮質に発現している味覚関連受容体に着目している。うま味受容体(T1R1/T1R3)は、味蕾を構成する味細胞のみならず、消化管内分泌細胞においても発現しており、栄養素の受容および消化吸収後の代謝調節に寄与する。さらには、大脳皮質、海馬、視床下部等の中枢神経系においても発現していることが示されている。しかしながら、島皮質に発現しているうま味受容体の生理的役割は未だ不明である。そこで本年度は、島皮質に発現しているうま味受容体に着目し、うま味受容体の電気生理学的性質について、ホールセルパッチクランプ法を用いて検討した。島皮質第III層錐体細胞からホールセルを形成し、膜電流固定下でグルタミン酸ナトリウムを投与したところ、スパイク発火が引き起こされた。次に、細胞外液のCa2+を除去したところ、スパイクの頻度が減少した。この結果から、うま味受容体活性化後に生じる細胞外から細胞内へのCa2+流入が、スパイクの発生に重要である可能性が示唆された。さらに、細胞内液に含まれるGTPを除去したところ、スパイクの頻度が減少した。この結果から、Gタンパク質alphaサブユニットの活性化が、スパイクの発生に重要である可能性が示唆された。島皮質に発現しているうま味受容体の活性化により、島皮質における味覚情報処理が速やかに行われている可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで得られた結果から、島皮質に発現している味覚関連受容体(カプサイシン受容体、カンナビノイドCB1受容体、うま味受容体)が味覚情報処理に深く関わっていることが示唆される。しかし、これらの受容体が、個体レベルでどのように味覚受容に影響を与えるかは検討できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
島皮質に発現している味覚関連受容体(カプサイシン受容体、カンナビノイドCB1受容体、うま味受容体)が、個体レベルでどのように味覚受容に影響を与えるかを検討するため、味覚試験等の行動実験を行い、味覚受容にどのような影響を与えるかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入が予定より若干少なかったことがあげられる。また、研究成果が学会発表の水準にまで達していなかったことから学会への出張回数が予定よりも少なくなり、旅費が予定額よりも少なかったことがあげられる。味覚試験等の行動実験を行うための試薬の費用、実験動物の経費、国外・国内旅費および論文印刷費として使用する予定である。
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