2018 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of voltage dependent strucutural changes in the metabotropic purinergic receptor P2Y1R
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17K08557
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
立山 充博 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 准教授 (30276472)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GPRC / 代謝型プリン受容体P2Y1R / 膜電位固定下蛍光強度計測 / 膜電位依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はGq共役型プリン受容体P2Y1R自身の膜電位依存性の検証および膜電位依存性をもたらす構造基盤の解明を目的としている。Gq共役型受容体の機能解析には、カルシウムイメージングや細胞内IP3含有量の測定が行われることが多いが、本研究では、HEK293T細胞に受容体を発現させ、Patch clamp法を適用し膜電位を固定した条件下で機能解析を行っている。しかしながら、Patch clamp法に必要なマイクロマニピュレーターが経年劣化により不具合を生じたため、新たなマニピュレーターの購入を余儀なくされた。この予定外の支出のため、当初計画していたXenopus oocyteの卵母細胞を用いた膜電位固定蛍光強度計測法(VCF)による膜電位依存性の分子基盤の解明を変更し、HEK293T細胞に発現させたP2Y1Rの選択的ラベル法の探索およびP2Y1Rと同じグループの属するGi/o共役型プリン受容体P2Y12Rの膜電位依存性の検証を主な目的として研究を進めた。 部位特異的ラベル化については、新たに、人口アミノ酸4azid-phenylalanineを部位特異的に導入し、azid基に蛍光色素を不可逆的に反応させるという方法を試した。4azid-phenylalanineの導入は、YFPに変異を導入したコンストラクトが基質とtRNAの共発現により蛍光を示したことから明らかとなった。しかしながら、azidと蛍光色素との反応が進まず、特異的ラベル化が困難なことが明らかとなった。また、マウス脳cDNAライブラリからプリン受容体P2Y12Rをクローニングしてその膜電位依存性を調べた結果、THIKチャネル活性化の濃度作用曲線は、膜電位を変化させても影響を受けなかった。このことから、P2Y1Rとよく似た配列を持つP2Y12Rでは膜電位依存性のないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロマニピュレーターの購入という予想外の支出のため、Xenopus oocyteを用いた実験のために計上していた機器が導入出来ず、Xenopus oocyteでの膜電位固定蛍光強度計測法(VCF)による解析などの研究計画を進めることが出来なかった。その代替案として、VCFに必須な部位特異的ラベル化法をHEK293T細胞発現系にて試した。人口蛍光アミノ酸の一つであるANAPは褪色がに速く蛍光も弱いため、褪色が遅く明るい蛍光色素を4azid-phenylalanineのazid基へ特異的に反応させるという新たな方法を試した。反応時間や基質濃度など、色々な条件下でラベル化反応を試したが、部位特異的ラベル化は観察されなかった。P2Y1R自身の膜電位依存性を捉えるための実験系の確立という点では、研究が足踏みしている状況であるが、Xenopus oocyteを用いたANAPによるラベル化に関しては、所属研究室にて方法論が確立している。そのため、検出系の最適化へと研究を進めることで研究をより進展出来ると考えている。 代謝型プリン受容体の一つであるマウスのGi/o共役型P2Y12Rをクローニングし、機能解析を行ったが膜電位依存性は確認できなかった。P2Y1Rの膜電位依存性に重要なアミノ酸残基はP2Y12Rにも保存されているということを考えると、このアミノ酸残基が膜電位依存性の原因ではなく、その一部として機能しているという可能性が示唆された。膜電位依存性の分子基盤の解明という観点からは、進捗がみられたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
代謝型プリン受容体P2Y1R自身が膜電位依存性を示すという直接的な証拠として、膜電位固定蛍光強度計測法(VCF)やゲーティング電流記録を検討しているが、特異的ラベル化や検出限界の問題からHEK293T細胞を用いた系での実験が困難であることが明らかとなっている。そのため、Xenopus oocyteでのVCFやゲーティング電流記録を検討している。 ゲーティング電流記録には、Cut open法が用いられるが専用のアンプなども必要なため予算の状況により研究の実施について検討する。一方、VCFに関しては方法論が確立されているため、膜電位変化により蛍光強度変化を示す部位の探索が中心となる。多くのアンバーコドン導入変異体の作製などが必要となるため、VCFに研究を集中しP2Y1Rが膜電位依存性を有するという直接的な結果を得るとともにその分子基盤に迫りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
代謝型プリン受容体の機能解析に必須であるマイクロマニピュレーターの経年劣化による故障のため、新たなマイクロマニピュレーターの導入という予定外の支出があった。このため、研究計画を変更した。これに伴い、新たな蛍光ラベル化法の検討や異なるタイプの代謝型プリン受容体のクローニングなどを行ったため、研究費の支出が圧縮され、次年度使用額が生じた。次年度は、多くの変異体の作製が必要となるとともに、Xenopus oocyteへ変異体を発現させるためのcRNAの合成も必要となる。cRNA合成キットは高額であるために、これに次年度使用額の多くを使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Activation of AMPK-Regulated CRH Neurons in the PVH is Sufficient and Necessary to Induce Dietary Preference for Carbohydrate over Fat.2018
Author(s)
Okamoto S, Sato T, Tateyama M, Kageyama H, Maejima Y, Nakata M, Hirako S, Matsuo T, Kyaw S, Shiuchi T, Toda C, Sedbazar U, Saito K, Asgar NF, Zhang B, Yokota S, Kobayashi K, Foufelle F, Ferre P, Nakazato M, Masuzaki H, Shioda S, Yada T, Kahn BB, Minokoshi Y
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 22
Pages: 706-721
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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