2019 Fiscal Year Annual Research Report
Role of N6-methyladenosine in the control of body weight
Project/Area Number |
17K08566
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
河野 大輔 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (10382904)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 肥満 / 視床下部 / m6A / FTO |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、肥満者は環境要因の影響により急速に増加している。そこで環境要因に応答性を持つ遺伝子発現調節機構であるエピゲノム修飾に注目した。食欲および熱産生の制御に重要な役割を持つ視床下部摂食代謝中枢を研究対象とした。エピゲノム修飾の一つであるRNAメチル化修飾、N6-メチルアデノシン(m6A)修飾について、脱メチル化酵素のFTOに焦点を当て、摂食代謝中枢における役割を調べた。 組織染色によりFTOの分布を調べたところ、摂食代謝中枢を構成する複数のニューロン群の中でも、特定のニューロン群において特に豊富に発現していた。そこで摂食代謝中枢を構成する各ニューロン群や各神経核特異的FTO欠損マウスを作成し体重を調べたところ、摂食代謝中枢の中でも一部のニューロン群にあるFTOのみが体重の調節を担っていることが明らかになった。 抗m6A抗体を用いたRNAの免疫沈降とそれに続く次世代シーケンサー解析により、FTOは、主に、pre-mRNAのエクソンやイントロンの領域にあるm6A修飾を脱メチル化していることが明らかになった。また、カテゴリー解析から選択的スプライシングや神経成長に関わる遺伝子のRNAがFTOの標的になっていることが示唆された。また、RNA発現が変化した遺伝子のPathway解析により軸索誘導シグナルが変化していることが示唆された。 そこで、神経特異的FTO欠損マウスの視床下部組織を用いてRNA-seqを行い、スプライシングの変化を網羅的に調べたところ、軸索関連遺伝子を含む複数の遺伝子の選択的スプライシングが変化していることが明らかになった。 これらから、摂食代謝中枢の特定のニューロン群にあるFTOが、体重を増加させる働きをしており、その機序にm6A脱メチル化による選択的スプライシングの調節とそれによる軸索の調節などが関わっていることが示唆された。
|