2018 Fiscal Year Research-status Report
夏季のイベントにおける熱中症対策―WBGT(時間×位置)マッピングの活用―
Project/Area Number |
17K08579
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松本 孝朗 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (60199875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 直之 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 助教 (70800738)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱中症予防 / マラソン / 競歩 / 観客、スタッフ、ボランティア / 湿球黒球温度 / 日本医師会 / オリパラ組織委員会 / 東京都知事 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年7月29日~31日、8月7日~9日、2018年8月2日~10日(15日間)、2020東京オリンピック・パラリンピックのマラソンコース、1km毎の地点に携帯型WBGT計を設置し、1分毎のWBGT、黒球温、気温、相対湿度を記録した。マラソンのスタート時刻(午前7時予定)の繰上げを考慮し、午前5時~10時のWBGTデータを解析対象とし、「WBGT(時間×位置)マッピング」を作成した。全コースの平均WBGTを30分ブロックで示すと、午前5時~8時は褐色(警戒)、8時半~9時半は赤(厳重警戒)レベルとなった。「選手および観客・大会スタッフ」にとって、熱中症発生のリスクが高いことをデータで実証した。また、競歩についてもマラソン以上のリスクがあることを示し、夜間開催、早朝開催、天幕の設置の3案を提案した。 「マラソンのスタート時間の1時間半繰上げ」と「競歩の時間変更や天幕設置」の必要性を、日本体育学会、日本生気象学会にて「提言」するとともに、その実現へ向け、広報活動を実施した。その結果、都医師会・日本医師会の同意・協力が得られ、日本医師会長、都医師会長と同行しての、10/29のオリパラ組織委員会(森喜朗会長)、11/20の櫻田オリパラ担当大臣、12/7の小池東京都知事との面談、直接の提案説明の機会を得た。 2019年4月16日に、オリパラ組織委員会から「マラソンは1時間繰り上げて6時スタート」、「競歩は30分繰り上げて5時半スタート」が発表された。マラソンについてはかなり熱中症リスクが軽減され、おおむね満足のいく結果と言えるが、競歩については全く不十分であり、今後も「天幕設置の要望」活動を継続して行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日本体育学会、日本生気象学会でも「提言」、日本医師会長、都医師会長と同行しての①オリパラ組織委員会(森喜朗会長)、②櫻田オリパラ担当大臣、③小池東京都知事との面談、直接説明を実施した。その結果、「マラソンは1時間繰り上げて、6時スタート」、「競歩は30分繰り上げて、5時半スタート」実現という『大きな社会的成果』につながった。マラソンについては、かなり熱中症リスクが軽減され、おおむね満足のいく結果と言えるが、競歩については全く不十分であり、今後もより安全なオリパラ大会の実現のために「天幕設置の要望」活動を継続して行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、本研究の成果から、「マラソンは1時間繰り上げて、6時スタート」、「競歩は30分繰り上げて、5時半スタート」が実現した。マラソンについては、かなり熱中症リスクが軽減され、おおむね満足のいく結果と言えるが、競歩については全く不十分であり、今後もより安全なオリパラ大会の実現のために「天幕設置の要望」活動を継続して行きたい。 現在、原著論文として投稿準備中である。トライアスロン大会や祭りにおける測定は、2019年度に実施予定である。
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Causes of Carryover |
概ね、計画通りの研究ならびに研究費の支出を行ったが、若干の残高が生じたため、次年度(2019年度)に使用したい。
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Research Products
(5 results)