2019 Fiscal Year Annual Research Report
Prophylactic and therapeutic strategy based on the molecular pathology of septic disseminated intravascular coagulation (DIC)
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17K08586
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
服部 裕一 北海道医療大学, その他, 客員教授 (50156361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 若奈 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (50381596) [Withdrawn]
冨田 賢吾 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (20758213) [Withdrawn]
鈴木 登紀子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10415531) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 敗血症 / 播種性血管内凝固 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染に対する制御不能な宿主反応による生命に関わる臓器不全と,2016年にその定義が見直された敗血症においては,敗血症性ショックや多臓器不全への進展を回避するための時宜を得た治療法を見出すことが,現在救命救急領域で求められているニーズである.敗血症はその進行に伴い,炎症と血液凝固のcross-talkによりその過剰状態に至る播種性血管内凝固(DIC: Disseminated Intracellular Coagulation)を誘発し,多臓器不全の重要な原因の一つと考えられている.敗血症においてDICの臨床症状が出現すると,予後不良となり,その致死率は50%を超えるため,臨床症状がない時点でいかにDICの発症を予防するかが重要な課題となっている.敗血症によるDICの発症原因として,炎症性サイトカインの過剰産生が挙げられるが,これによる炎症と,血液凝固系とのcross-talkの分子機構については十分に解明されていない。本研究において,盲腸結紮穿孔(CLP)を行い,腹膜炎発症による敗血症を生じさせた多菌性敗血症マウスにおいて,DIC時の血液凝固に関わるとされる分子群である組織因子(TF: tissue factor),plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)の遺伝子およびタンパクレベルの組織内の上昇,血小板減少,およびプロトロンビン時間が延長していることから,CLPマウスは,敗血症性DICのよい動物モデルであることが証明された。さらに,敗血症性DICの分子機構を明らかにするために,種々の炎症性サイトカイン増加を誘発し敗血症病態形成に重要とされる転写因子であるNF-κBのデコイ核酸を遺伝子導入したが,抑制効果は認められかったことから,敗血症性DICに,炎症性サイトカインの過剰産生を起こすNF-κBは関与していないことが示唆された。
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