2018 Fiscal Year Research-status Report
Endocytosis-independent membrane fusion peptides for cancer stem cell drug delivery
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17K08590
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
島田 康人 三重大学, 医学系研究科, 講師 (40378427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 佐保子 自治医科大学, 医学部, 教授 (20378326)
小出 裕之 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60729177)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 異種移植 / ゼブラフィッシュ / 前立腺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
癌幹細胞は種々のがん発生の原因であるとともに、その自己複製能・多分化能から遠隔転移・晩期再発の大きな原因の1つと考えられており、これを標的とすることにより持続的な治癒状態の達成が期待されている。しかし癌幹細胞は腫瘍組織内における存在数が少ない上に、エンドサイトーシス・トランスポーターなど細胞内からの薬物排出機構が活性化しているため抗がん剤耐性が非常に高く、有効な治療法が存在していないのが現状である。本研究ではこれまで開発してきたエンドサイトーシスを惹起しない脂質膜融合性コイルドコイル型ペプチドを用いて、癌幹細胞への選択的ドラッグデリバリー技術の構築を目的とした。 本年度は昨年度に引き続き、(1)がん細胞移植ゼブラフィッシュを用いた抗がん剤投与試験および(2)がん細胞移植マウスを用いた抗がん剤投与試験を行った。当初計画からsiRNAの標的遺伝子(Bcl-xLからCCNB1)、リポソーム調整法(多層性リポソーム:リポプレックス)の変更を行った。ゼブラフィッシュ試験に関しては予想通りの結果が得られたが、。CD44BPを結合させたK4ペプチドとCPEリポプレックスを用いた薬物送達技術により、癌幹細胞に対してsiRNAおよびドキソルビシンの導入・細胞増殖抑制に細胞培養系・がん移植ゼブラフィッシュの両方にて成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
siRNA標的遺伝子として当初はBcl-xLを予定していたが、これまでの報告数の多さからCyclin B1 (CCNB1)に変更し、このsiRNAに近赤外蛍光色素Cy5を結合させたCy5-CCNB1 siRNAを以降の実験に使用した。また、生体内での分解抵抗性からリポプレックス(多層性リポソーム)を用いた。 まず培養細胞・癌移植ゼブラフィッシュを用いて本技術の性能を評価した。ゼブラフィッシュを用いた薬物送達試験では、受精後48時間のTg (kdrl:EGFP)系統にPC-3M-Pro4 ALDH(high)細胞を血管内に移植し、その24時間後にCD44BP-K4とsiRNAを投与した。72時間後に体内の癌細胞量を蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、CD44-K4とCPEリポプレックスの組合せでは癌幹細胞量が有意に減少していた。siRNA投与したゼブラフィッシュ体内のがん細胞に含まれるCCNB1遺伝子発現量をqRT-PCR法を用いて解析した結果、その発現量が減少しており、siRNA-CPEリポプレックスの効果が確認できた。 次にBALB/cヌードマウスの皮下にPC-3M-Pro4細胞を移植し、1週間後腫瘍形成が確認できた個体に対し、尾静脈よりCD44BP-K4とCy5-CCNB1 siRNAを含むCPEリポプレックス、CCNB1-リポプレックス(CPEなし)、Cy5-CCNB1 siRNA単体を注入した。CPEリポプレックス自体にはローダミンで蛍光ラベルし、移植細胞はレンチウイルスを用いてルシフェラーゼを発現させた。6時間後腫瘍組織を回収し、蛍光顕微鏡にて観察した結果、CCNB1-リポプレックス注入群には、CCNB1 siRNA由来のCy5蛍光が検出され、siRNA単体注入群には検出されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きがん細胞移植マウスを用いた抗がん剤投与試験を行う。 BALB/c Nude マウスにPC-3M-Pro4 細胞およびそのALDH(high) 癌幹細胞を移植する。移植方法は皮下および血管内とする。移植後、癌幹細胞の生着をイメージングで確認した後、ドキソルビシンあるいはCCNB1 siRNA を含有した本リポプレックスを血管内から投与し、癌幹細胞への影響、特に骨転移部に注目した解析を行い、病理組織学的解析および遺伝子発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の計画通り執行したが、端数が生じたため。 (使用計画)2019年度に行うマウス実験に使用する予定である。
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