2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛の治療ターゲットとしての核内受容体REV-ERBの機能解析と創薬への展開
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17K08596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森岡 徳光 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 教授 (20346505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 一恵 (久岡一恵) 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 助教 (20393431)
仲田 義啓 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 名誉教授 (40133152)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鎮痛薬 / 脊髄アストロサイト / REV-ERB / SR9009 / 慢性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、慢性疼痛におけるREV-ERBの関与およびその役割を明らかにすることで、REV-ERBの慢性疼痛の新規標的としての可能性を示すことを目的として検討を行った。核内受容体であるREV-ERBは様々な遺伝子発現の制御に関与している可能性がある。そこで、慢性疼痛の発症に寄与することが知られている脊髄アストロサイト機能に対するREV-ERBの関与を検討した。その結果、初代培養脊髄アストロサイトにおけるlipopolysaccharide(LPS)による疼痛誘発物質(interleukin(IL)-1β、IL-6、matrix metalloproteinase(MMP)-9)の産生増大反応が、REV-ERB作動薬であるGSK4112およびSR9009の前処置によって有意に抑制されることが明らかとなった。またSR9009による抑制作用のREV-ERBへの特異性に関しては、RNA干渉法により確認した。一方で、慢性疼痛に関与する脊髄ミクログリアにおける疼痛誘発物質産生能に対するREV-ERBの関与について同様に検討したところ、脊髄アストロサイトと比較してその抑制作用は弱かった。 またLPSを脊髄くも膜下腔内に投与することで作製した炎症性疼痛モデルを用いて、REV-ERB作動薬の鎮痛効果を検討した。その結果、GSK4112およびSR9009を脊髄くも膜下腔内に前処置することによってLPSによる機械的疼痛閾値の低下(機械的アロディニア)が有意に減弱することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度研究において、REV-ERBの慢性疼痛に対する治療標的としての可能性を細胞・動物レベルで検証することができた。すなわち、慢性疼痛発症に深く寄与している脊髄グリア細胞における疼痛誘発物質産生に対するREV-ERBの役割とREV-ERB作動薬の抑制効果を明らかにした。またLPS誘発炎症性疼痛モデルを用いた検討により、REV-ERB作動薬の鎮痛効果を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄アストロサイトにおける疼痛誘発物質産生に対するREV-ERB作動薬の抑制効果について、さらなる詳細なメカニズムを検討する。またその他の細胞機能に対するREV-ERBの役割についても検討を行う。 LPS誘発炎症性疼痛以外の疼痛モデル(神経障害性疼痛、抗がん薬誘発疼痛、糖尿病性疼痛など)に対するREV-ERB作動薬の効果を検討するとともに、REV-ERB作動薬による鎮痛作用メカニズムについても明らかにする。 またSR9009よりも優れた薬物活性を有する新規REV-ERB作動薬の開発に向けたスクリーニング系を構築し、化合物ライブラリーなどを利用することで探索を進めていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 購入を予定していた試薬の値段が当初より高騰しているため、他の格安の類似薬に変更した。そのために差額が生じた。 (使用計画) 本年度は予定していた試薬を購入し、研究計画に沿って実験を遂行する予定である。
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Research Products
(1 results)