2018 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用に向けたGSK-3活性化物質DIFの抗がん作用標的分子の同定
Project/Area Number |
17K08598
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
高橋 富美 産業医科大学, 医学部, 教授 (50274436)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹栗 俊之 九州大学, 医学研究院, 教授 (30261209)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 抗腫瘍薬 / G1期特異的 / GSK-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は有望な抗がん薬開発ターゲットであるグリコーゲン合成酵素キナーゼ-3(GSK-3)の活性化をその分子基盤とし、細胞周期進行をG1期で強力に拘束するDifferentiation-inducing factor;DIF(DIF-1およびDIF-3)をリード化合物とした、“新規抗がん薬”の開発を目指して研究を続けている。 現在までに、DIFの作用機序に加えて、生体内でも抗がん作用を持つことを報告してきた。しかし、標的分子の解明に至っていないため、臨床応用への展開が困難となっている。そこで本研究では、GSK-3タンパク質側からとDIF分子側からの2種類のプルダウン法でDIF標的分子の探索・同定を目指している。 本年度はDIF-3分子を修飾し、アフィニティークロマトグラフィーを行った。以前、DIF-1分子を使用したアフィニティークロマトグラフィーを行った時と同様に、結合タンパク質として14-3-3ζが確認された。そこで、ヒト子宮頸がん由来細胞HeLaを用いて、14-3-3ζへのDIFの効果についての検討を行ったところ、DIFと14-3-3ζが細胞内でも結合している可能性が示唆され、14-3-3ζがDIFの標的分子の1つである可能性が示唆された。 今後は、14-3-3ζの機能に及ぼすDIFの影響についてHeLa細胞およびDIF-1、DIF-3を用いて、特に発がん機構と関連するHippo pathwayに着目して検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的である標的分子の探索については、今回新しく様々なシグナル伝達経路で重要な役割を果たしているタンパク質14-3-3がDIFの標的分子の一つである可能性を見出した。 GSK-3側からの新たな進展は見られなかったが、我々はDIFにはGSK-3非依存性の作用があることも見出しており、DIFの惹起するシグナル伝達経路の全容を明らかにするための新たな発見である。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たなDIFの標的分子として、様々な細胞機能制御に関連している14-3-3を見出したので、今後はDIFの14-3-3を介した細胞機能への影響についての検討を行っていく予定である。 まず、14-3-3が発がん制御機構に関与しているHippo pathwayに焦点をあてて、検討を進めていく予定である
|
Causes of Carryover |
今年度実施予定の外部依頼の質量分析をまだ行っていないため、差額が生じている。 最終年度には、生じた差額を使用して質量分析を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)