2018 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍血管リモデリングを介する抗癌剤感受性向上による癌治療の基盤研究
Project/Area Number |
17K08602
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
冨田 修平 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00263898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 慎司 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30704910)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍血管 / 低酸素 / PHD阻害剤 / HIF / 腫瘍免疫 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍血管は,正常血管と異なり血管組織の構造的・機能的に脆弱であることが知られている。このことに起因する血流や血管透過性の変化が,酸素や栄養分の 供給や薬剤の腫瘍組織への送達を低下させ,ひいては放射線治療や薬物治療に対する抵抗性獲得に寄与している。すなわち,腫瘍に対して成熟血管の形成が治療 の感受性を決定する要因と考えられる。しかし,脆弱な腫瘍血管を正常血管に形質変化させる分子機構や方法について未だ詳細は不明である。本研究課題では, 最近申請者が見出した,プロリン水酸化酵素(PHD)阻害剤による腫瘍血管の正常様血管への誘導についてその分子機序を解明し,さらに腫瘍血管の正常化を誘 導する化合物のスクリーニング法を確立して新規抗腫瘍治療法開発のための研究基盤を構築する。 そこで,本研究では,PHD阻害剤による腫瘍血管の正常血管への誘導について,その分子機序を解明して正常化機序に必須の分子群の同定を試みる。それらの 情報をもとに既存薬剤でPHD阻害剤と同様の効果を示すものを探索するシステムを構築する。また,同定された薬剤を腫瘍移植モデルに投与して腫瘍血管の正常 化と腫瘍内への薬物送達の改善効果について検証する。その結果,腫瘍組織内の血管長の延長,腫瘍移植モデルに対する抗癌剤の効果において,PHD阻害剤併用 の治療群では,対照群に比較して腫瘍サイズの縮小が観察された。すなわち申請者は,PHD阻害剤が腫瘍内血管の形態および機能を変化させ,抗癌剤の腫瘍に対 する感受性を向上させることにより腫瘍体積を減少させることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PHD阻害剤による腫瘍血管の形質を変化させることで抗癌剤の感受性を引き起こすことができた分子機序を明らかにする段階において、がん微小環境の変化その ものにおける腫瘍形成に及ぼす影響を考慮する必要性があったが、腫瘍免疫細胞について詳細な解析を行うことにより、焦点を絞って解析を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
PHD阻害剤の投与による腫瘍血管の形質変化がどのようにして引き起こされ,どのような執行分子が存在するのかを明らかにするために,腫瘍移植モデルより 各細胞群を単離分取して,その遺伝子発現解析を進める。具体的には,腫瘍移植マウスのPHD阻害剤投与群・非投与群より腫瘍を摘出し,PHD阻害剤投与群の腫瘍 組織中で変化する細胞集団について各細胞系譜マーカーを用いて細胞解析装置により同定する。これらのうちPHD阻害剤で変化する細胞集団をセルソーターによ り分取・回収する。上述の実験を確実に進めるために,細胞系譜別に標識したレポーターマウス(VE-Cadherin Cre; ROSA26-EGFP, Collagen1α1 Cre; ROSA26- EGFP, PDGFRα/β Cre; ROSA26-EGFPなど)を利用して各細胞群の組織学的変化や各細胞集団の変化について解析する。また単離分取した細胞群について,マイ クロアレイ解析や次世代シーケンサー(NGS)解析を施行してPHD阻害剤投与により発現変化する遺伝子群を抽出する。上記実験より抽出された遺伝子群につい て,既知の情報を含め,成熟した正常血管および腫瘍血管における機能解析を行う。具体的にはPHD阻害剤を投与した腫瘍組織に対して候補遺伝子の機能獲得実 験および機能欠失実験を遺伝子導入によって行い,腫瘍血管の機能・形態学的な変化について解析することにより目的の分子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
基本的には予定通りの研究成果を得られたので、次年度の予定している動物実験にて実験数をそろえるために利用することを予定している。
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[Journal Article] Clinical Significance of the Neutrophil?to?Lymphocyte Ratio in Endocrine Therapy for Stage IV Breast Cancer2018
Author(s)
Iimori N, Kashiwagi S, Asano Y, Goto W, Takada K, Takahashi K, Hatano T, Takashima T, Tomita S, Motomura H, Hirakawa K, Ohira M.
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Journal Title
In Vivo
Volume: 32
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Prediction of Treatment Response to Neoadjuvant Chemotherapy in Breast Cancer by Subtype Using Tumor-infiltrating Lymphocytes2018
Author(s)
Asano Y, Kashiwagi S, Goto W, Takada K, Takahashi K, Hatano T, Takashima T, Tomita S, Motomura H, Ohsawa M, Hirakawa K, Ohira M.
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Journal Title
Anticancer Research
Volume: 38
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Mesenchymal?epithelial Transition and Tumor Vascular Remodeling in Eribulin Chemotherapy for Breast Cancer2018
Author(s)
Kashiwagi S, Asano Y, Goto W, Takada K, Takahashi K, Hatano T, Tanaka S, Takashima T, Tomita S, Motomura H, Ohsawa M, Hirakawa K, Ohira M.
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Journal Title
Anticancer Research
Volume: 38
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Dipeptidyl Peptidase-4 (DPP-4) inhibition Attenuates Cardiac Dysfunction after Myocardial Infarction Independently of DPP-4.2018
Author(s)
Yamaguchi T, Izumi Y, Shiota M, Tanaka M, Osada-Oka M, Matsunaga S, Kitajima S, Miura K, Iwao H, Tomita S
Organizer
18th World Congress of Basic and Clinical Pharmacology, July 1-6, Kyoto
Int'l Joint Research
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