2020 Fiscal Year Research-status Report
必須アミノ酸トランスポーターLAT1阻害薬による破骨細胞抑制
Project/Area Number |
17K08603
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
林 啓太朗 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10323106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉沢 和宏 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30282479)
JUTABHA Promsuk 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90541748) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒト破骨細胞 / アミノ酸トランスポーター / LAT1 / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト破骨細胞に発現するアミノ酸トランスポーターLAT1の骨吸収における重要性を明らかにし、LAT1を標的とした新たな関節リウマチ治療戦略を開発することを目的として遂行される。本研究はLAT1特異的阻害薬JPH203を主な研究手段として用いるが、これまでの研究結果においてJPH203に対する破骨細胞の感受性がヒトとマウスで大きく異なることが明らかとなっており、本研究においてはヒトの材料を使用することが不可欠となる。これまでは、健常人より採血を行い末梢血より破骨細胞を得ていたが、昨年度はコロナウイルス感染の懸念より採血がほぼ不可となり、新たな材料を得ることができなくなった。このような背景により、昨年度は以前に採取していた材料のサンプルを用いて、JPH203による破骨細胞関連遺伝子の発現変動を中心に解析を行った。 末梢血よりサイトカインにより単球を破骨細胞に分化させたサンプルを用いて、破骨細胞分化に影響を与える遺伝子の発現をReal Time PCR (RT-PCR)により解析した。JPH203存在化で分化した破骨細胞は、破骨細胞分化を促進するとされるNFATc1, DC-STAMP, およびCathepsin Kの発現が減少した。その一方、破骨細胞分化に対して抑制的に機能するとされるMafBについては、JPH203により発現が変動しなかった。さらに、ケモカインの一つであるCCL7の発現がJPH203により大幅に減少した。以上の結果より、LAT1阻害薬による破骨細胞の抑制は遺伝子の転写変動に起因することが明らかとなった。これらの成果は、アミノ酸トランスポーターが破骨細胞分化を制御する遺伝子の発現調節に必須であることを示す重要な研究結果と位置付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においてはヒトの材料を使用することが必須となるが、昨年度はコロナウイルス感染の懸念より健常人からの採血がほぼ不可能となり、新たな実験材料を得ることができなくなったため、予定よりも進展がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度もコロナウイルス感染が引き続き拡大しており、採血による末梢血からのサンプル採取は極めて難しいと予想される。ウイルス感染以前に取得したサンプルを用いて、遺伝子発現解析などを中心に解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染の拡大により健常人からの採血がほぼ不可能となり、新たな実験材料を得ることができなくなり、予定していた実験が実行できなかったため次年度使用額が生じた。本年度は、以前に取得済のサンプルを用いて遺伝子発現解析などを行う予定であり、その実験のための試薬購入などに次年度使用額を使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] T細胞依存性アレルギー性炎症に対するLAT1阻害薬の効果2021
Author(s)
神沼 修, 佐伯 真弓, 西村 友枝, 廣井 隆親, 三浦 健人, 山崎 憲政, 尾形 佐和子, 伊藤 大起, 古山 禎大, 森 晶夫, 遠藤 仁, 安西 尚彦, 林 啓太朗
Organizer
第94回日本薬理学会年会