2018 Fiscal Year Research-status Report
ピオグリタゾンによる貪食細胞機能増強作用の機序解明
Project/Area Number |
17K08611
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
中島 正裕 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 助教 (70738103)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 弘幸 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 助教 (10574064)
石塚 俊晶 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 薬理学, 教授 (30399117)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
関 修司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 教授 (80531392)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ピオグリタゾン / 細菌 / Kupffer細胞 / 解糖 / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pioglitazoneを50~60週齢の老齢マウスに投与すると、その後に致死量の大腸菌を経静脈投与しても、死亡率が有意に低下した。若齢マウスよりも老齢マウスの方が、死亡率の低下が顕著にみられた。これは、TNF、IL-12、IFN-γなどの炎症性サイトカイン産生が低下したことだけでなく、肝臓における大腸菌の除菌能力が増強したためと考えられた。 肝臓のKupffer(KC)細胞には、肝固有のresident KCと骨髄由来のrecruited Mφが存在する。前者の方が細菌に対する殺菌能が高いと考えていたが、本研究では後者の機能が亢進するとともに好中球が肝臓にて増加傾向にあったことが原因と考えた。特に、recruited Mφに関しては、CD206などのscavenger receptor発現が細胞内にて増強しており、それに伴い細菌の取込み活性が増強したと考える。 Pioglitazoneの投与がrecruited Mφの代謝に及ぼす影響として、解糖系の亢進がみられた。Recruited Mφの解糖系反応の亢進を2-deoxyglucoseを添加して解糖系反応を抑制すると、recruited Mφの貪食能は顕著に低下した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に関する英語論文は受理された。 しかし申請者らは研究の当初、pioglitazoneの肝臓における除菌能の増強が、PPAR-γに依存したり、recruited Mφがchemokine(CCR-2)を介して遊走されてくると考えていたが、そうではないことが判明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
PiglitazoneはPPAR-γ agonistであるが、肝臓においてはそのantagonist GW9662が投与されても機能が失活されない可能性がある。 本研究に伴い、申請者らはacetaminophen肝障害に対して、pioglitazoneの事前投与が劇的な予防につながることを見出した。興味深いのは、ここでもGW9662の投与がpioglitazoneの効果を失活しなかった点である。 今後は、acetaminophen肝障害においてpioglitazone投与がなぜ有効なのか、PPAR-γに独立した効果がどこにあるのかを検証したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
2019年度は、論文掲載料が約25万円かかること、購入したい試薬として60万円かかるものがあること、海外学会発表に30万円かかること、等の予算を確保したため。
|
Research Products
(1 results)