2018 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質ポリスルフィドの生体内生成動態と構造・機能制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K08619
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井田 智章 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70570406)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ポリスルフィド化タンパク質 / 活性イオウ分子 / 質量分析装置 / メタボローム / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
システインやグルタチオンのチオール基に過剰にイオウ原子が付加(ポリスルフィド化)したシステインポリスルフィドなどの活性イオウ分子種が生体内において高いレベルで生成していることがわかってきた。さらに、タンパク質のシステイン残基もポリスルフィド化していることが示された。しかし、どのようなタンパク質のどのシステイン残基がどの程度、どのような構造でポリスルフィド化しているか不明である。そこで、本研究では、網羅的・特異的かつ定量的ポリスルフィド化タンパク質スクリーニングシステムを構築し、生体内ポリスルフィド化タンパク質生成動態を解析することで、ポリスルフィド化タンパク質の生合成・構造・機能制御機構を解明することを目指した。本年度は活性イオウ分子種、さらにポリスルフィド化タンパク質を特異的・定量的・高感度に検出するシステムを用いて、培養細胞やマウス各組織における活性イオウ分子種やポリスルフィド化タンパク質の同定に成功した。具体的には、moonlighting functionとして同定したシステイン-tRNA合成酵素(CARS)をノックアウトした細胞やマウスの活性イオウ分子種とタンパク質ポリスルフィド化レベルを定量化し、in vivoにおいてCARSが主要なシステインパースルフィド合成酵素であることを示した。さらに、組換えADH5やGAPDHタンパク質のポリスルフィド化部位とそのイオウ数を同定した。また、活性イオウ分子種の化学反応生を解析した結果、ポリスルフィド構造のアルカリ加水分解とチロシンによるその保護効果を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に基づき、昨年度に構築したiodoacetamide誘導体を用いた新規ポリスルフィド高感度定量解析システム、ポリスルフィド化タンパク質スクリーニング法を用いて、培養細胞やマウス各組織における活性イオウ分子種やポリスルフィド化タンパク質の同定に成功した。さらに、チロシンによるポリスルフィド構造の安定化作用を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
野生型細胞、およびシステインパースルフィド合成関連酵素をそれぞれ、siRNA、CRISPR/Cas9 システムによりノックダウン、ノックアウトしたHEK293T細胞のポリスルフィド化動態を解析する。さらに、タンパク質ポリスルフィド化を制御していることが予想されているグルタチオンレダクターゼやチオレドキシンレダクターゼノックダウン・ノックアウト細胞やマウス組織のポリスルフィド生成動態を解析する。
|
Causes of Carryover |
(理由)本年度は、実験に使用する試薬、消耗品などの物品費が当初の予定よりも少ない額で目標を達成することができた。 (使用計画)各種組換えタンパク質や培養細胞ライセートに含まれるポリスルフィド化タンパク質生成動態や構造・機能制御メカニズムを明らかにする為の実験に関する試薬や消耗品などの物品費に使用する。また、研究成果を論文にまとめ投稿する為の英文校正や論文投稿費として使用する。
|
Research Products
(25 results)