2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08620
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 祥子 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70344885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥脇 暢 北里大学, 薬学部, 教授 (50322699)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 転写 / 核-細胞質間物質輸送 / エピジェネティック / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Nup融合遺伝子産物が核-細胞質間物質輸送に与える影響の解明 上記の目的のため、まず野生型の核膜孔タンパク質Nup98およびNup214が核-細胞質間物質輸送を担う運搬体および積み荷の細胞内局在に与える影響について検討した。Nup98をノックダウンした細胞では運搬体のExportin1から7およびImportin7の細胞内局在が変化していた。Exportin1-7はそれぞれ異なった基質を認識し運搬している。Exportinが輸送するタンパク質あるいはRNAのいくつかについてノックダウン細胞における局在を観察したところ、細胞内局在に変化が生じていた。次に、Nup98融合タンパク質およびNup214融合タンパク質発現細胞における運搬体の細胞内局在を観察したところ、Nup98ノックダウン細胞と同様の細胞内局在の変化が認められた。また、基質の輸送にも影響がみられた。以上の結果から、Nup融合遺伝子産物は、細胞内において野生型のNupが有する機能を何らかの機構で阻害している可能性が示唆された。 2. Nup214融合遺伝子産物の輸送以外の核内機能の解明 SET-Nup214、DEK-Nup214を発現する患者由来の細胞株を用いて遺伝子発現パターンの解析を行ったところ、共に白血病細胞でしばしば高発現がみられるHox遺伝子群の発現が上昇していることが明らかとなった。転写が促進されているHox遺伝子領域では、転写がアクティブな遺伝子領域に見られるヒストンH3K4のトリメチル化及びヒストンH3K79のジメチル化の割合が高いことが認められた。一方、レポーターアッセイによりHox遺伝子群のプロモーター領域に与えるNup214融合タンパク質の影響を検討したが、転写活性の促進は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
変異型Nup98の発現による輸送異常とがん化における役割の解明の解析について時間がかかっている。また、研究実施計画に記述した計画3「核膜孔複合体形成への影響」の実験を進めるにあたっての条件検討を行った。そのため、計画2「相互作用因子と新規機能の同定」の進行に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.核膜孔タンパク質Nup98、Nup214の質的変化が核-細胞質間物質輸送へ与える影響 核-細胞質間物質輸送へ与える影響において、Nup融合遺伝子産物発現細胞とNupノックダウン細胞で見られた結果が類似していた理由について、分子レベルでの解析を進める。 2.Nup融合遺伝子産物の輸送以外へ及ぼす影響の解明 Nup214融合遺伝子がHox遺伝子群の転写量を増加していた原因について、解析を進める予定である。現在までにHox遺伝子群の転写に関わることが報告されている転写因子やヒストン修飾酵素、クロマチンリモデリング因子等に着目し、解析を行う。必要に応じてNup214融合遺伝子産物と相互作用する因子の同定を質量分析により行い、解析を進める予定である。
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