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2017 Fiscal Year Research-status Report

多能性幹細胞の異種環境への寄与の限界

Research Project

Project/Area Number 17K08623
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

山口 智之  東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (80392158)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords異種キメラ / 発生 / 異種間テトラプロイドコンプリメンテーション
Outline of Annual Research Achievements

多能性幹細胞は体のすべての組織に分化しうる幹細胞の一つであり、その性質によってナイーブ型とプライム型の2種類に大別される。 げっ歯類の多能性幹細胞は「キメラ形成能」というユニークな性質を持つナイーブ型多能性幹細胞に属し、他の動物種の多能性幹細胞とは性質が異なる。我々は、このキメラ形成能によってマウスーラット間の異種キメラも作製できることを報告したが、一方で、ラットーマウス異種キメラのキメリズム(多能性幹細胞の異種組織への寄与率)は同種キメラと比較して胎生期においても成体においても低く、キメリズムのきわめて高いものは奇形があり胎生致死していた。これは異種環境内での多能性幹細胞の発生には限界があることを強く示唆しているが、多能性幹細胞が異種の発生環境内でどのような挙動を示すか(どこまで発生できるか)は全く明らかになっていない。そこで、本研究では異種環境における多能性幹細胞の寄与の限界(異種の壁)がどこにあり、どのような原因で限界に至るのかを明らかにすることを目的とした。
これまでに異種間テトラプロイドコンプリメンテーション法により、完全に多能性幹細胞由来の胎児がどのステージまで発生できるかを解析した。その結果、マウス多能性幹細胞をラットテトラプロイドに注入した場合、またその逆のラット多能性幹細胞をマウステトラプロイドに注入した場合、どちらも発生初期(E9.5~10.5)で発生停止または死亡していた。このことから、完全に異種環境内ではマウスもラットも発生の限界は胎盤形成期の直前であり、Full termまで発生できないということが明らかとなった。発生停止の時期から、胎盤と胎児または胎盤を介した母体と胎児の相互関係が不十分であった可能性も考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度に予定していた、異種間テトラプロイドコンプリメンテーション法により、完全に多能性幹細胞由来の胎児がどのステージまで発生できるか、胎盤は正常に形成されているか、母体由来因子が胎児で検出されるかを検討し、異種母体とのコミュニケーションが適切に行われているかどうかの検証がすべて終了した為。

Strategy for Future Research Activity

多能性幹細胞が異種の組織内で正常に発生分化するためには、異種組織との複雑な細胞間相互作用や異種由来ファクターに対する反応が正常に行われる必要がある。
これらが正常に行われているかどうかを検証するために、多能性幹細胞が異種動物体内の様々な組織で、その発生にどこまで寄与できるかを解析する。
具体的には、マウス胚盤胞にラット多能性幹細胞(ES、iPS細胞)を、ラット胚盤胞にマウス多能性幹細胞(ES、iPS細胞)をそれぞれ注入して異種キメラを作製し、様々な発生段階で、脳、血液細胞、心臓、肺、腸、繊維芽細胞、肝細胞、腎臓および生殖細胞を単離し、酵素処理で単一細胞にしたのち、フローサイトメーターでそれぞれキメリズムを解析する。

Causes of Carryover

動物実験が予定よりも少ない施行回数で完了出来たため、次年度使用額が生じた。繰り越した助成金は実験の委託または人件費に使用したい。

URL: 

Published: 2018-12-17  

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