2019 Fiscal Year Research-status Report
インスリン/IGFシグナルを修飾するIRSのモノユビキチン化の制御機構の解明
Project/Area Number |
17K08625
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福嶋 俊明 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70543552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン / インスリン様成長因子 / インスリン受容体基質 / ユビキチン / がん / 糖尿病 / Nedd4 / USP15 |
Outline of Annual Research Achievements |
代謝調節/成長促進に重要なインスリン/インスリン様成長因子(IGF)の細胞内シグナルは、インスリン受容体基質(IRS)を介して伝達される。申請者らは、「IRS2がモノユビキチン化を受けるとインスリン/IGFシグナルが増強する」という現象を見出し、さらに、IRS2のモノユビキチン化の過剰な減弱/増強がインスリン/IGFシグナルの過剰な減弱/増強を引き起こし、これが糖尿病やがんの発症や進行に寄与することを示してきた。また、ユビキチンリガーゼNedd4がIRS2をモノユビキチン化する、脱ユビキチン化酵素USP15がIRS2のモノユビキチン化を除去することも明らかにしていた。本研究では、IRS2のモノユビキチン化の制御機構を解析し、IRS2のモノユビキチン化量を調節することによりインスリン/IGFシグナルを修飾する手法を開発することを目的とする。 USP15は、USP4やUSP11と類似した構造をもち、N末端付近にdomain present in ubiquitin-specific proteases(DUSP)ドメインとユビキチン様(UBL)ドメインを有している。2019年度の研究により、USP4とUSP11も、ユビキチンが付加したIRS2に強く結合し、Nedd4によって誘導されたIRS2のモノユビキチン化を除去することが明らかになった。USPファミリータンパク質の活性制御はこれまでほとんど報告がないが、USP4については、DUSPドメイン-UBLドメインが酵素活性ドメインに分子内相互作用すると活性が上昇することが知られている。IRS2のモノユビキチン化は高栄養条件で減少することがわかっているので、今後、この条件でUSP4、11、15の活性、分子内相互作用、IRS2との結合量などが変化するか調べる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予想していなかったことだが、今年度の解析の過程で、USP4やUSP11もインスリン/IGFシグナルを調節しうる候補タンパク質であることが明らかとなった。これらの検討に時間を要したため、予定していた解析の一部(USP15がインスリンシグナルの調節に果たす役割の解析など)を十分検討することができず、来年度以降に実施することとなった。そのため、進捗状況は「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
インスリン標的細胞として培養肝細胞H4IIEを用い、高栄養条件で培養することによりインスリン抵抗性を誘導した際の、USP4、11、15の脱ユビキチン化活性や発現量の変化を解析する。また、この細胞でUSP4、11、15の発現を抑制しIRS2のモノユビキチン化を増加させた時に、インスリンに応答した細胞内シグナルや糖代謝酵素の発現変化が回復し、糖放出が強く抑制されるようになるか検討する。このような解析から、USP4、11、15がインスリンシグナルの調節に果たす役割を明らかにする。 栄養条件を変動させた際のNedd4の活性調節機構を明らかにするために、低栄養条件で結合量が増加することがわかったNedd4結合タンパク質について、過剰発現/発現抑制などを行い、Nedd4の活性に及ぼす影響を検討するなどの解析を行う。 次のステップとして、IRS2のユビキチン化・脱ユビキチン化を担うNedd4やUSP15などの活性を低分子化合物を用いて制御できるようにしたい。さらに、この化合物を用いて、IRS2のモノユビキチン化量を調節、インスリン/IGFシグナルの強さを変化させることによりインスリン抵抗性を改善する、あるいはがん細胞の増殖を抑制できることを示す研究を展開したい。成就すれば、全く新しい作用点で働く抗糖尿病薬・抗がん剤の開発に向けたシーズとして提案できる。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」に記したように、今年度は、USP15がインスリンシグナルの調節に果たす役割などを解明する予定であった。しかし、他の解析や論文投稿に多くの時間を要したため、こちらの解析を十分検討することができず、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、未検討の解析実施のための費用、一部の研究データをより精緻にするための追加実験の費用、論文投稿に要する費用として使用する。
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Remarks |
*と同じ内容は、東京大学農学生命科学研究科HP (http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2015/20150420-1.html)、および、広島大学HP (http://www.horpshima-u.ac.jp/news/show/id/22883)からも発信された。
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Research Products
(10 results)