2018 Fiscal Year Research-status Report
低分子量Gタンパク質シグナル系が血管の構築・維持を制御する新たな分子機構
Project/Area Number |
17K08627
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
扇田 久和 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50379236)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / 動脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管、特に、動脈を構成する主な細胞として血管内皮細胞と血管平滑筋細胞がある。本研究では、これらの細胞において低分子量Gタンパク質がどのように機能しているか個体レベルで解析するため、Cre-loxPシステムを利用したコンディショナルノックアウトマウスを昨年度作製した。具体的には、血管内皮細胞特異的にCreを発現するTie2-Creマウス、または、血管平滑筋細胞特異的にCreを発現するSM22α-Creマウスと、RhoA遺伝子内に2つのloxPサイトを有するRhoA-floxマウスを掛け合わせて作製した。当該年度では、これらのマウスを用いて解析を行い下記の結果が得られた。 血管内皮特異的RhoAコンディショナルノックアウトマウスは、胎生12日目までに全例致死となった。その原因の一つとして、コンディショナルノックアウトマウスでは体節間血管の伸長が不完全であることと、頭部血管叢の分枝は著明に減少していることが関与していると考えられた。これは血管のリモデリングに障害が生じていたために見られた所見で、その分子メカニズムをさらに解析している。 一方、血管平滑筋特異的RhoAコンディショナルノックアウトマウスは、メンデルの法則に従って出生した。このマウスに動脈瘤を誘導する薬剤を負荷すると、コントロールマウスと比較して、動脈瘤の発生や動脈瘤破裂が有意に増加していた。その原因として、RhoA欠損による平滑筋細胞間の細胞接着の脆弱化が推定され、その詳細な分子機序について現在検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度作製した血管内皮と血管平滑筋特異的RhoAコンディショナルノックアウトマウスをそれぞれ用いて、当該年度はその表現型の解析を進めることができた。さらに、その表現型の原因をかなりの程度明らかにすることに成功した。上記2種類のマウスどちらも、コントロールマウスと比較して明確な差が認められることから、特に、血管内皮特異的コンディショナルノックアウトマウスは胎生致死となることから、RhoAの血管形成・維持における重要性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮特異的または血管平滑筋特異的RhoAコンディショナルノックアウトマウスそれぞれにおいて認められた表現型の原因について、そのメカニズムを分子レベルで詳細に解明する。 血管内皮特異的RhoAコンディショナルノックアウトマウスが胎生致死となる時期での血管発生状態において、RhoAが血管内皮でターゲットとするあるいは相互作用する分子を同定する。その後、RhoAとこれらの分子が血管発生のシグナル伝達系でどのような働きをしているか明らかにする。 血管平滑筋特異的RhoAコンディショナルノックアウトマウスで動脈瘤ができやすくなる原因と推定される細胞接着の脆弱性について、RhoAと接着分子の相互作用に着目して解析する。この解析を通して、RhoAが動脈圧(約100~140 mmHg)というメカニカルなストレスに対してどのように保護作用を発揮しているか、その全容解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
本年度、マウスを用いた解析が想定よりも安価にできたため。次年度はペプチドの網羅的解析を複数回行う予定であり、多くの経費が必要になることが予想される。
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[Journal Article] Mutant KCNJ3 and KCNJ5 potassium channels as novel molecular targets in bradyarrhythmias and atrial fibrillation.2019
Author(s)
Yamada N, Asano Y, Fujita M, Yamazaki S, Inanobe A, Matsuura N, Kobayashi H, Ohno S, Ebana Y, Tsukamoto O, Ishino S, Takuwa A, Kioka H, Yamashita T, Hashimoto N, Zankov DP, Shimizu A, Asakura M, Asanuma H, Kato H, Nishida Y, Miyashita Y, Shinomiya H, Naiki N, Hayashi K, Makiyama T, Ogita H, et al.
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Journal Title
Circulation
Volume: In press
Pages: _
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Genotype determination of the OPN1LW/OPN1MW genes: novel disease-causing mechanisms in Japanese patients with blue cone monochromacy.2018
Author(s)
Katagiri S, Iwasa M, Hayashi T, Hosono K, Yamashita T, Kuniyoshi K, Ueno S, Kondo M, Ueyama H, Ogita H, Shichida Y, Inagaki H, Kurahashi H, Kondo H, Ohji M, Hotta Y, Nakano T.
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 8
Pages: 11507
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Epithelial membrane protein 1 promotes tumor metastasis by enhancing cell migration via copine-III and Rac12018
Author(s)
Ahmat Amin MKB, Shimizu A, Zankov DP, Sato A, Kurita S, Ito M, Maeda T, Yoshida T, Sakaue T, Higashiyama S, Kawauchi A, Ogita H.
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Journal Title
Oncogene
Volume: 37
Pages: 5416~5434
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Targeting the mevalonate pathway is a novel therapeutic approach to inhibit oncogenic FoxM1 transcription factor in human hepatocellular carcinoma2018
Author(s)
Ogura S, Yoshida Y, Kurahashi T, Egawa M, Furuta K, Kiso S, Kamada Y, Hikita H, Eguchi H, Ogita H, Doki Y, Mori M, Tatsumi T, Takehara T.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 9
Pages: 21022~21035
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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