2018 Fiscal Year Research-status Report
Treg細胞における転写因子E-Id蛋白質によるRegulome制御の統合的解析
Project/Area Number |
17K08629
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 和子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 研究員 (00311811)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Treg / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
bHLH型転写因子E2Aは、リンパ球分化・活性化において重要な機能を担っている。逆に、その拮抗因子であるId蛋白質を制御性T(Treg)細胞特異的に欠損させたマウスが、全身性のTh2型炎症を自然発症することを見い出し、E-Id因子の転写制御バランスがTreg細胞における炎症制御に必須の機能を担うことが明白となった。本研究では、Treg細胞の活性化・炎症抑制における転写ネットワークと高次クロマチン構造についての実態を解明することを目的として これまで、Id2flox/fIox-Id3flox/flox-Foxp3Creマウスおよび野生型マウスから Treg 細胞を単離し、ATAC-seqを行い、全ゲノム領域でのオープンクロマチン領域を同定した。Id2/Id3欠損Treg細胞において、約10,000ヶ所の特異的な領域があり、大部分がnon-coding領域のエンハンサー領域であった。転写因子モチーフ検索の結果、アクセシビリティが上昇した領域ではE2Aの結合モチーフがtopにランクされたことから、拮抗因子Id2/Id3によりE2Aの転写活性が制御されることで、Treg細胞の機能が調節されていることがゲノムワイド解析からも明らかになった。 H30年度は、炎症がない状況からどのように炎症を起こしていくのかということを解明するため、その解析を行うモデルマウスが必要と考え、Id2/Id3 flox Foxp3Cre/Foxp3DTRを作成した。このマウスでは、Diphteria Toxin(DT)投与によって、Id2/Id3欠損Treg細胞のみになり、1週間ほどで全身性のTH2炎症が再現できた。このマウスモデルを使用することにより、実際にどのようにE-Id蛋白質を軸にTH2炎症が起こるのかを詳細に解析することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Id2, Id3欠損Treg細胞におけるオープンクロマチン領域の同定は終わり、データベース上のTreg細胞でのエンハンサーレパトアとの比較を統合的に行っている。Id2/Id3 flox Foxp3Cre/Foxp3DTRマウスを作成し、炎症がない状態からTH2炎症を惹起する実験系が確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
Id2/Id3 flox Foxp3Cre/Foxp3DTRマウスを用いて、炎症がない状態からTH2炎症を惹起する過程におけるエンハンサーの変化やゲノム構造の変化を解析し、E-Id蛋白質がeTreg細胞の活性化を制御する分子メカニズムを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
今年度はおおむね計画通りに研究費を使用した。次年度使用額は、主に次世代シークエンスの費用として使用する計画である。
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