2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new treatment for skeletal muscle atrophy by targeting human pseudogene
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17K08646
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
常陸 圭介 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (10508469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮 / タンパク質メチル化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、タンパク質メチル化酵素Mettl21eに骨格筋の肥大誘導作用があることを見出している。本研究ではこのMettl21eの筋肥大誘導効果に着目して、Mettl21eを介した新たな筋肥大の誘導メカニズムを明らかにするとともに、Mettl21eを利用してヒトの筋萎縮に対する新たな治療法を開発することを目的とする。 本年度は、ゲノム編集により作成したMettl21e遺伝子のノックアウトマウスを繁殖させ、Mettl21eノックアウトマウスがメンデルの法則に従って生まれることを確認し、骨格筋組織の解析を行った。9週齢の野生型のマウスと比べて、同週齢のMettl21eノックアウトマウスでは、前脛骨筋、長指伸筋、大腿四頭筋、腓腹筋の重量の10-20%の減少と筋力の有意な低下が観察された。また、Mettl21eの基質・標的となる筋タンパク質を同定するために、Flag-Mettl21eを骨格筋へと遺伝子導入し、Mettl21eの相互作用タンパク質の網羅的プロテオミクス解析を行った。さらに、Mettl21eノックアウトマウスと野生型マウスの骨格筋組織を用いたタンパク質発現の網羅的プロテオミクス解析も行った。それぞれの結果を統合することで、これまでに複数の有望なMettl21eの標的となるタンパク質を同定することに成功した。Mettl21eタンパク質を認識する特異的な抗体はこれまでに報告されていない。そこで、Mettl21eタンパク質を認識する抗体を作成するために、Mettl21eタンパク質の全長配列を大腸菌で発現させる発現条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に従い、Mettl21eノックアウトマウスの骨格筋の解析を行い、Mettl21e遺伝子の欠損により筋萎縮が生じることを明らかにした。また、平成30年度に計画していた、Mettl21eによりメチル化修飾を受ける筋タンパク質のプロテオミクスによる同定を試み、いくつかの有望な候補を同定するに至った。平成29年度に予定していたノックアウトマウスの骨格筋組織の詳細な分子解析にはまだ取り組めていないが、現在までの研究の達成度は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究から、Mettl21eノックアウトマウスでは筋萎縮が生じていることが明らかとなったため、次年度以降ではノックアウトマウスの骨格筋組織のより詳細な解析を行う。具体的には、筋断面積の測定や、HE染色による筋組織の観察、PCRやウエスタンブロット、免疫染色を行うことで、Mettl21e遺伝子の欠損により筋萎縮が生じる分子メカニズムを明らかにする。また、本年度の研究で得られたプロテオミクスデータの詳細な解析を行い、Mettl21eによってメチル化修飾が変化する筋タンパク質の同定も試みる。さらに、ヒトでのMettl21e遺伝子の解析にも取り掛かる。
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Causes of Carryover |
効率的な研究費の使用により、若干の繰越金が発生した。次年度の研究費と合わせて分子生物学実験に使用する。
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Research Products
(3 results)