2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの偽遺伝子を標的とした筋萎縮に対する新たな治療法の開発
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17K08646
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
常陸 圭介 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 助教 (10508469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮 / タンパク質メチル化酵素 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マウスのMettl21eタンパク質に対する抗体を2種類作製し、その特異性の検討を行った。マウスMettl21eタンパク質の全長を大腸菌で発現させ抗原として用いた。ウエスタンブロット法による解析の結果、作製した抗体が免疫に用いた抗原を十分に認識することが確認された。しかしながら作製した抗体では、内在性のMettl21eタンパク質だけでなく、C2C12細胞や骨格筋組織に過剰発現させたMettl21eタンパク質も検出することができなかった。市販のGST抗体と比べて、作製した抗体の検出感度等に問題は認められなかった。そのため、作製した抗体が内在性のMettl21eを認識しない原因を現在追求している。 昨年度に同定したMettl21eの基質タンパク質の中から、最もメチル化の変化が顕著であった骨格筋のタンパク質について解析を進めた。質量分析による詳細な解析から、Mettl21eによってメチル化される骨格筋タンパク質上リジン残基を決定した。また、リジン残基のメチル化修飾を特異的に認識する市販の抗体を用いたウエスタンブロット法での解析により、Mettl21e遺伝子のノックアウトマウスではこのタンパク質のメチル化修飾が大きく減少していることを確認した。さらにqPCRによる解析から、複数の筋萎縮病態下においてMettl21e遺伝子の発現がどのように変化しているのかを明らかにした。またMettl21eノックアウトマウスの骨格筋組織を詳細に解析し、Mettl21eの欠損により筋断面積が減少していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に従い、Mettl21eの基質として骨格筋のタンパク質を同定し、そのメチル化修飾部位まで同定することができた。また、Mettl21eタンパク質の免疫沈降とプロテオミクス解析を組み合わせることで、Mettl21eタンパク質と相互作用する因子の同定も行った。Mettl21e遺伝子の欠損によって筋萎縮が生じる要因について、ノックアウトマウスの骨格筋組織を詳細に解析することで、筋繊維径の減少が原因であることを明らかにした。そのため、現在までの研究の達成度は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、メチル基の転移を検出できる蛍光試薬やin vitroでのメチル化アッセイなどを利用して、同定したタンパク質がMettl21eの真のメチル化標的分子であることを生化学的に検証する。すでにヒトのMettl21e相同遺伝子とチンパンジーのMettl21e遺伝子のクローニングには成功しているため、これらの配列を組み替えることでヒトMettl21e相同遺伝子が偽遺伝子となった原因を特定する。さらに、ヒトの骨格筋細胞にタンパク質に翻訳される形のMettl21e相同遺伝子を遺伝子導入することで、ヒトの骨格筋においてもMettl21eによって筋肥大を誘導することが可能かを検証する。
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Causes of Carryover |
効率的な研究費の使用により繰越金が発生したため、次年度の研究費と合わせて分子生物学実験とヒトの細胞を用いた研究に使用する。
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Research Products
(11 results)