2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K08648
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
白木原 琢哉 北里大学, 医学部, 講師 (30548756)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リン酸化タンパク質 / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
TGF-βによって誘導されるEMT(上皮間葉移行)の形態変化や細胞運動能をFGFシグナルが増強するeEMT(enhanced-EMT)と名付けた現象に関与するチロシンリ ン酸化シグナルの解析を進めている。これまでに、安定同位体アミノ酸を用いたSILAC法を用い、TGF-β単独で誘導されるEMyoTとTGF-β+FGF-2で誘導されるeEMTの細胞抽出液からリ ン酸化タンパク質の網羅的な比較を行い、およそ550のタンパク質がeEMTで特異的にチロシンリン酸化修飾を受けていることを明らかにした。続いて、同定したリン酸化タンパク質群の中からeEMTの機能に関与するリン酸化を探索するため、既知の機能や発現場所、リン酸化量などを材料に注目したおよそ30種のタンパク質をshRNAを使ってノックダウンした。しかし、ノックダウンを行ったNMuMG細胞株に関してeEMT誘導能に大きな変化は見出せなかった。そこで次に、候補タンパク質の一つであるチロシンキナーゼに着目し、その活性化を阻害する市販の阻害剤の効果を検討した。用いた3種類の阻害剤のうち、2種類についてはTGF-βとFGF2によるeEMT誘導を阻害する様子が観察された。さらに、様々なチロシンキナーゼを標的とした阻害剤を使ってeEMT誘導阻害作用のスクリーニングを行った結果、別に新たに2種類の阻害剤がTGF-βとFGF2添加3日後に誘導されるeEMTの形態変化を抑制することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初の目標としていたeEMT誘導に関与するチロシンリン酸化標的タンパク質の特定には至っていないものの、eEMT誘導を阻害する阻害剤を複数見出すことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
阻害剤投与によりeEMT誘導が抑制された際に、どのようなシグナル経路の変化が起きているのかを解析する。阻害剤が標的としているキナーゼがeEMT誘導にどのように関与しているのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
COVID-19により積極的に研究を進められなかった時期があったために次年度使用額が生じた。次年度は研究を進展させるための消耗品購入や研究成果の発表に使用する。
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