2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞外NADシグナルによるマラリア感染防御機構の解明
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17K08653
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中川 崇 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (40610374)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | NAD / マラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
NAD合成酵素であるNmnat3(Nicotinamide mononucleotide adenylyltransferase 3)の欠損マウスは赤血球内NADレベルの減少を来し、先天性溶血性貧血を示すことを申請者は以前報告した(J Biol Chem. 2014)。興味深いことに、これらマウスは、マラリア感染に対して易感染性を示し、野生型マウスと比較して、マラリア感染時の死亡率が非常に高いことが判った。本研究課題ではこれら知見を糸口に、「マラリア感染の初期段階において赤血球から放出されたNADが細胞外シグナル伝達物質として作用し、マラリア感染防止に働いている。」という仮説を立て、細胞外NADシグナルがどの様にマラリア感染防御機構に関与しているのかを明らかにすることを目的とした。現在までに、様々なマウスマラリア株を用いて、Nmnat3欠損マウスのマラリア感受性について検討した。すると程度に差はあるものの、試した4種類すべての株でNmnat3欠損マウスは易感染性を示した。また、質量分析計によるメタボロミクス解析を行ったところ、細胞内NADレベルはマラリア感染により回復傾向があることが解った。細胞外NADについては、その効果を調べるため、骨髄由来マクロファージ(BMDM)を用いたin vitro実験を行った。すると、NAD投与により、IL-6やIL-1β、TNFαといった炎症性サイトカインの発現が惹起されることが解った。そこで、細胞内NADがリガンドとして作用するシグナル経路として、TLRシグナルを想定し、TLR4 KOマウス由来BMDMを用いてサイトカインの発現プロファイルを調べたが、野生型マウス由来BMDMとの間で大きな差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoでの感染実験、メタボロミクスの実験は終了し、現在はメカニズムの解析を行っている。今後、幾つか候補に挙がっているシグナル経路について検討を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外NADによるマラリア感染制御のメカニズムを解明するため、細胞外でNADを分解し、ADPリボースまたはcADPリボースを生成する酵素CD38もしくはCD157の欠損マウスを用いてマラリア感染実験を行う。これにより、NADの分解が必要かどうか確かめる。また、NADもしくはその分解物のリガンドとして、プリン作動性受容体シグナルが関与しているか、その可能性を探るため、阻害剤などを用いて、BMDMでのサイトカイン発現に影響があるか検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は十分な実験がおこなうことができたため残額が生じ、次年度に消耗品として利用する。
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Research Products
(6 results)