2017 Fiscal Year Research-status Report
Txnipリボヌクレオプロテイン複合体による代謝制御・癌抑制
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17K08658
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
増谷 弘 天理医療大学, 医療学部, 教授 (50252523)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Txnip / アルファアレスチン / 癌 / 糖尿病 / 神経保護作用 / 低分子化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らが報告したα-アレスチンタンパク質thioredoxin interacting protein (Txnip)は、糖尿病の病態・病因に重要な役割を果たし(Nature Commun., 2010)、同時に膀胱癌で変異が7%見られる実際の癌抑制遺伝子である。申請者は、Du145前立腺細胞株においてTxnipがglucose依存的に100, 250, 1000から1300kDaの核内高分子複合体を構成し、その複合体がRNAを含むことを明らかにした。今年度は、Txnipの分子機構を調べるためにTxnipと相互作用するタンパク質を解析し、タンデムアフィニティー精製とプロテミクス分析によって複数の候補タンパク質を同定した。また、RNase 処理によりこの高分子複合体は減少し、Txnipが高次リボタンパク質複合体を形成することを明らかにしている。今年度は、その成分のRNAの候補を得た。これらの結果により、Txnipが多くの結合パートナーと相互作用し、一過性の高次リボ蛋白質複合体を形成することによってその機能を発揮し、シグナル伝達調節因子の分解を調節するモデルを提示することができた。一方、Txnipの発現を制御するCDK5/ CaMKK2/ AMPK経路に働くglucose取り込みを促進する低分子化合物を得た。この低分子化合物のいくつかについて、SHSY5Y細胞において新たに神経保護作用があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究の実施状況として、Txnip と相互作用するタンパク質を解析し、複数の候補タンパク質を同定した。また、Txnip が形成する高次リボタンパク質複合体の成分のRNAの候補を得ることができた。さらに、糖によるTxnip発現誘導を抑制し、糖取り込みを増強させる低分子化合物のいくつかについて、新たに神経保護作用があることを明らかにした。これらは、概ね計画どおりであり、また、新たな展開を期待できるものであり、計画は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Txnip が形成する高次リボタンパク質複合体の成分の蛋白質候補について機能解析を進めるとともにRNAの候補について検証を行う。また、糖によるTxnip発現誘導を抑制し、糖取り込みを増強させる低分子化合物について構造機能相関の解析を進め、ターゲット分子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2017年4月に、京都大学ウイルス・再生医科学研究所から異動し、天理医療大学に着任した。そのため、2017年4月、5月は実験のセットアップのために一時ペースダウンを余儀なくされた。そのため、次年度に繰り越す金額が発生した。しかしながら、2017年度はほぼ当初計画どうりの成果が得られ、一部期待以上の研究結果が得られたため、2018年度はこの繰り越し金額とあわせて研究を発展加速させる。
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