2017 Fiscal Year Research-status Report
プレシナプスにおけるアルツハイマー病発症の分子機序解析
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17K08668
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡部 博貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30422413)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プレセニリン / アルツハイマー病 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は研究計画に使用しうるマテリアルの作製や試薬の入手を行った。ヒトiPS由来の神経細胞でのPS1の生理的機能を解析する目的において、PS1 KO iPS細胞は必須となるが、PS1は神経幹細胞の維持に必須であることから、PS1 KO iPS細胞は樹立しにくい可能性がある。したがって、CRISPR-Cas9のゲノム編集技術を用いて、PS1 conditional KO(cKO)iPS細胞を樹立する。ターゲティングベクターとPS1を標的とするsingle-guide RNA/ Cas9発現ベクターの構築は終えており、それらのプラスミドを健常人iPS細胞へ導入し、相同組み換えの起こっているクローンをスクリーニングした。数十クローン解析したところ、ヘテロ接合体を示すクローンを得た。 iPS細胞から大脳皮質神経細胞へ分化誘導し、安定的にヒト大脳皮質神経細胞を供給する系を確立した。PSに変異のある複数のiPS細胞からヒト大脳皮質神経細胞を分化誘導させ、蛋白解析やRNA解析などに使用するサンプルを調製した。申請者が見い出していたPS遺伝子改変マウスで変化のあるシナプス蛋白質に対する抗体等を入手し、免疫細胞化学やウェスタン解析などに使用できうるかを検討した。さらに、ADに特徴的な病理所見である老人斑と神経原線維変化を構成するAβとタウについて、それぞれの評価系を確立し、健常人iPS神経細胞に比べ、PS変異iPS神経細胞ではAβ42/Aβ40比の有意な上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞に関する材料の入手等は順調に進んでいる。遺伝子改変マウスに関しては、慶應義塾大学内の遺伝子組み換え、及び動物実験計画書の承認を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
PS1 cKO iPS細胞の作製については、現在得ているヘテロ接合のクローンからホモ接合のクローンの作製を行う。PS遺伝子変異(PS1 M146L, A246E, L286V, PS2 N141Iなど)を持つ家族性アルツハイマー病患者由来iPS細胞について、複数の共同研究先より入手し、iPS細胞の樹立を行う。PS1 cKO、及びPS変異iPS神経細胞でのプレシナプス機能の電気生理学的特性、カルシウム蛍光指示薬を用いたカルシウムイメージングの検討を開始する。さらに、PS/ γセクレターゼ複合体を特異的に認識し、内在レベルで免疫染色に使用可能なA5226A抗体を用いて、ヒト神経細胞でのγセクレターゼ複合体とSNARE/SM複合体との局在を検討する。電気生理学的手法などの実験は慶應義塾大学内外の専門家との共同研究を模索している。
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Causes of Carryover |
試薬購入に関する費用は予想以上に抑えられたため、必要経費がかさむと考えられる次年度へ繰り越す事を決定した。
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Research Products
(2 results)