2018 Fiscal Year Research-status Report
プレシナプスにおけるアルツハイマー病発症の分子機序解析
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17K08668
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡部 博貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30422413)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / シナプス / プレセニリン / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018度は研究計画に使用しうるマテリアルの作製をほぼ完了した。ヒトiPS由来の神経細胞でのPS1の生理的機能を解析する目的において、PS1 KO iPS細胞は必須となるが、PS1は神経幹細胞の維持に必須であることから、PS1 KO iPS細胞からの神経細胞への分化過程は異常となっている可能性がある。したがって、ゲノム編集技術を用いて、conditional KO(cKO)iPS細胞を樹立する。ターゲティングベクターとPS1を標的とするsingle-guide RNA/ Cas9発現ベクターを健常人由来iPS細胞へ導入し、相同組み換えの起こっているクローンをスクリーニングした。数十クローン解析したところ、ホモ接合体を示す3クローンを得た。 KO iPS細胞から神経前駆細胞へ誘導した後に、前駆細胞のマーカーでもあるNotchシグナル経路を検討した結果、PS1の欠損自体では有意に変化している結果は得られず、他の因子によって補填されている可能性が示唆された。 次に、iPS細胞から大脳皮質神経細胞へ分化誘導し、効率よくヒト大脳皮質神経細胞を供給する実験系を確立した。PSに変異のある複数のiPS細胞からヒト大脳皮質神経細胞を分化誘導させ、蛋白解析やRNA解析などに使用するサンプルを調製した。申請者が見い出していたPS遺伝子改変マウスで変化のある蛋白質に対する抗体等を入手し、免疫細胞化学やウェスタン解析などに使用できうるかを検討した。さらに、ADに特徴的な病理所見である老人斑を構成するAβについて、ELISA評価系を確立し、健常人iPS神経細胞に比べ、PS変異iPS神経細胞ではAβ42/Aβ40比の有意な上昇を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノム編集株の作製とその確認作業に手間取っていたために計画が少々遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Conditional KO iPS細胞の作製については、現在得ているホモ接合体のクローンの詳細なゲノム解析を行う。PS遺伝子変異(PS1 M146L, A246Eなど)を持つ家族性アルツハイマー病患者由来iPS細胞について、複数の共同研究先より入手しているが、ΔE9変異について、ゲノム編集で作成追加する。これらPS1変異iPS神経細胞でのシナプス機能の電気生理学的特性、カルシウム蛍光指示薬を用いたカルシウムイメージングの検討を開始する。電気生理学的手法などの実験は慶應義塾大学内の専門家との共同研究を見据えてディスカッションを始めている。さらに、PS/ γセクレターゼ複合体を特異的に認識し、内在レベルで免疫染色に使用可能なA5226A抗体を用いて、ヒト神経細胞でのγセクレターゼ複合体とシナプスとの局在を検討する。
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Causes of Carryover |
計画が遅れていたため、2018年度に計上した予算を、2019年度に機能解析で用いる予算に回す方針とした。
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Research Products
(2 results)