2017 Fiscal Year Research-status Report
Phosphorylation of Y14 mutated in TAR syndrome
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17K08677
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 哲 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (40360515)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Y14(RBM8A) / リン酸化 / 核小体 / EJC / mRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
TAR症候群(Thrombocytopenia absent radius syndrome)は、血小板減少と橈骨の欠損を特徴とする劣性の遺伝疾患である。原因遺伝子はY14(RBM8A)と呼ばれるRNA結合因子であるが、2箇所のリン酸化セリンを持っている。本研究では、Y14のリン酸化が生体にどのように寄与するのかを分子、細胞、個体レベルで明らかにしていくことを目指している。Y14はSRタンパク質と同様にRRMとC末端のRS繰り返し配列から構成されており、C末端のRS繰り返し配列はリン酸化修飾を受けることが知られてきた。本研究では、GFPタグで標識した様々なY14変異体を発現させることにより、特に細胞内局在におけるリン酸化が果たす役割を解明することに成功した。具体的には、C末端領域の欠失変異体またはセリンからアラニンへの変異体は、転写領域である核質領域からリボソーム合成の場である核小体へ局在が移行することが明らかとなった。さらに、C末端RS反復含有配列自体が核小体局在化することが明らかとなった。また、Y14のC末端領域による局在の調節は、結合因子MAGOH結合によって制御されることを明らかにした。以上より、Y14の細胞内局在が、以前に報告されたN末端局在化シグナルだけでなく、Y14の166および168番目のセリンのリン酸化部位およびMAGOHとの結合を介したC末端RS反復含有領域によっても調節されることを実証した(Tatsuno & Ishigaki, Sci Rep 2018)。また、ヒト細胞においては大部分のY14分子がリン酸化されているが (Ishigaki et al., Exp Biol Med 2015) 、マウスモデル作成にあたって予備的に解析したところマウス細胞内においてもヒト培養細胞と同様に大部分のY14タンパク質がリン酸化されていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで不明であったY14のリン酸化の役割について培養細胞内においては明らかにすることができた。また、結合因子の探索や、薬剤誘導による強制発現系も構築を済ませている。前者については、共沈殿してくるタンパク質について予備的な質量分析を実施してきたが、感度が低いことが共同研究者より問題として指摘されている。このためY14タンパク質と共局在するタンパク質をビオチン化して検出する系も構築し、結合タンパク質の解析、同定を進めている。ただし、よく知られている結合因子であるMagohは核小体に局在するY14タンパク質とは結合していないと考えている。一方薬剤誘導による強制発現系についても実験系を構築するとともに、下流の遺伝子発現についても検討を進めており、Y14の新たな役割を解明していく予定である。また、遺伝子改変マウスの作出についてもベクター系の構築を進めており、予備的な実験からマウスにおいてもヒトと同様にリン酸化が生じていることを明らかにした。以上より概ね順調に進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、予定通り以下の3点について検討を進める。第1にリン酸化の役割をインビボで解明するために、リン酸化変異マウスを作製する。第2にスクリーニングされたY14結合因子の細胞内機能解析を行う。第3にリン酸化変異体発現の影響をヒト培養細胞内で分子レベルにて解析するとともに、核小体局在が細胞へ与える影響を分子レベルで明らかにする。以上よりY14のリン酸化制御に新たな知見を加えるとともに、Y14やEJC因子の持つ機能について検討を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
他の研究資金と合わせて効率よく研究を進めることができたため予定よりも使用額を抑えることができた。未使用額については30年度の消耗品購入に当てる予定である。
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