2018 Fiscal Year Research-status Report
癌微小環境における細胞内シグナル制御因子O-GlcNAc糖鎖修飾の癌増殖への影響
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17K08678
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
森脇 一将 大阪医科大学, 医学部, 助教 (00467656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 通雄 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10397614)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | NF-κB |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、全身でグルコース代謝物を基質とするO-GlcNAc修飾が亢進するOgtトランスジェニック(Ogt-Tg)マウスへの癌細胞移植を行い、癌微小環境におけるO-GlcNAc修飾の機能を解析している。 B16マウスメラノーマ細胞を皮下移植すると、野生型マウスと比べてOgt-Tgマウスでは移植癌細胞の増殖が速いことを見出しているが、今回、Pan02マウス膵癌細胞の皮下移植実験においても同じ結果、つまり、Ogt-Tgマウスでは移植癌細胞の増殖が速かったことから、Ogt-Tgマウスにおける腫瘍増殖の亢進はメラノーマに限らず他の癌腫にも共通した現象である可能性が高いことが確認できた。Ogt-Tgマウスにおける癌細胞の増殖亢進には、抗腫瘍効果を持つM1型の腫瘍組織浸潤マクロファージにおけるNF-κBの活性低下が関わっていることが、我々のメラノーマ細胞移植実験から示唆されている。今回、dimethyl hydrazine (DMH)とdextran sulfate sodium (DSS)を混合投与による炎症性大腸癌発癌モデルにおいても、Ogt-Tgマウス由来大腸組織においてNF-κBの活性低下および炎症性サイトカインの低下が認められたことから、O-GlcNAc修飾が炎症、特に急性炎症に対して抑制的に働いていると考えられた。また、NF-κBがO-GlcNAc修飾を受けること、細胞全体のO-GlcNAc修飾の亢進に伴ってNF-κBのO-GlcNAc修飾も亢進することを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌微小環境におけるO-GlcNAc修飾の亢進が及ぼす癌微小環境の変化について、複数の実験動物モデルで同じ現象、つまり、NF-κBの活性低下および炎症性サイトカインの低下を観察することができて、また、O-GlcNAc修飾の標的分子としてNF-κBが存在することを確認できたので、おおむね予定通りに解析を進めることができたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
癌微小環境におけるO-GlcNAc修飾の亢進が腫瘍の成長を促進する理由について、腫瘍組織浸潤M1型マクロファージにおける炎症性サイトカインの産生能低下以外の要因があるのか、引き続き解析を行う。腫瘍組織浸潤細胞のプロファイリングを進めて、野生型マウスとOgt-Tgマウス間での相違を見出していく。
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Causes of Carryover |
今年度に予定されていた共同研究施設への新規のFACS細胞解析機器の導入が大きくずれ込み、未だに導入されていない。結果、予定していた実験を先送りにしたため未使額が生じた。この次年度使用額は、本年度に出来なかった実験に充てる予定である。
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