2019 Fiscal Year Research-status Report
尿酸値を対象とした遺伝要因および環境要因を交えた疾患リスク推定モデル構築の研究
Project/Area Number |
17K08682
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
三澤 計治 関西医科大学, 医学部, 講師 (10525885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 英換 東北大学, 大学病院, 助教 (00706939)
大内 基司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20409155)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 全ゲノム解析 / 痛風 / 高尿酸血症 / 低尿酸血漿 / 遺伝率 / 多変量解析 / コホート研究 / レアバリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東北大学東北メディカル・メガバンク機構による地域住民コホート研究の全ゲノム解析から、尿酸輸送体URAT1のアミノ酸配列を変える変異がヒト集団中に複数あることがわかりました。 アフリカツメガエル卵母細胞使った実験で、これらの変異が、尿酸の細胞内取り込み影響を与えていることが示されました。また、スプライスサイト上に見つかった変異について、ヒト腎由来HEK293T細胞を用いたminigene実験で、スプライシングに影響を与える変異も見つかりました。 これらのURAT1の尿酸取り込み能力に影響を与える変異について、地域住民コホート参加者の尿酸値への影響を定量的に解析しました。その際に、性別・年齢、BMI・eGFR、HbA1cなど、尿酸値に影響を与える要素を考慮に入れました。 その結果、これらのURAT1 変異が男女いずれの性別でも、遺伝的な尿酸値の規定要因のうち10%以上を説明できることを明らかにしました。これは、従来発見されていた変異の影響7.9%を大きく上回るものです。このことから、全ゲノム解析によって初めて見つかった稀な変異群が、血清尿酸値の「失われた遺伝率」のかなりの部分の根底にあることが分かりました。 本研究成果は、米国遺伝学会誌「Genetics」2020年4月号に掲載されました。また2020年5月20日の朝日新聞にて記事にされました。 本申請課題によって、将来的には、尿酸値異常によって引き起こされる高尿酸血症や痛風などの病気にかかりやすい人を特定できるようになることが期待されています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題は計画通りに実行され、研究成果を記載した論文はアメリカ遺伝学会発行のGenetics誌に出版されました。しかしながら、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が考えられたため、研究期間を延長しました。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間延長はしたものの、本申請課題で計画していた研究は全て行った。今後は基盤研究(C)科研費番号20K07316の「ながはまコホートおよび佐渡コホートのゲノム情報解析による、尿酸値関連変異の探索」にて尿酸値に影響を与えるヒトゲノム上の変異を探索していく。
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Causes of Carryover |
本申請課題は計画通りに実行され、研究成果を記載した論文はアメリカ遺伝学会発行のGenetics誌に受理され、出版されました。しかしながら、2019年度末の時点では、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、論文出版費用の請求書の到着が遅れる可能性あり、研究期間を延長しました。繰り越された予算は、2020年度に出版費用として支払われます。
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Remarks |
本申請課題の研究成果について、関西医科大学からプレスリリースを行い、朝日新聞に新聞記事として取り上げられました。
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