2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K08684
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 丈晴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (90287186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰方 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60161551)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心筋症 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に挙げた以下の進行状況について、 1.HCM多発大家系患者に対する網羅的変異解析から得た新規の病因を基盤とした治療法の創出:これまでに我々は肥大型心筋症(HCM)多発大家系を対象とした網羅的変異解析を施行し、新規の心筋症原因候補遺伝子Xの変異を同定し、さらに、日本人HCM発端者集団に、複数の別のX遺伝子変異を見出した。Xは液性因子であるが、今まで報告のない肥大抑制因子であると仮説をたて、モデル細胞、動物を作成し現在検証を進めている。。 2.心筋症の既知遺伝子の原因変異解析、新規原因候補遺伝子解析: 67種の既知の心筋症原因遺伝子に関する変異解析の系を用いて、全国多施設より依頼された肥大型、拡張型心筋症(DCM)患者ゲノムを解析し、多くの病的と考えられる変異を同定し、結果を報告してきた。特に本年度は、個々に報告してきた小児HCM例について、遺伝子解析結果をまとめ文献報告を行なった(文献1)。小児HCMでは、高い確率でサルコメアを中心とした原因遺伝子が同定された。特に、家族歴の明らかでない非家族性HCMにおいて、成人HCMでは原因遺伝子変異の同定確率は低いが、小児HCMでは非家族性であっても、家族性HCM同様に高い確率で原因遺伝子変異を同定できることが明らかとなった。さらに、非常に予後の悪く比較的稀なHCMの亜型である、心室中部閉塞型HCMについて遺伝子解析を行なった。この亜型では、通常のサルコメア遺伝子変異の同定頻度は低く、むしろDCMやその他の心筋症で見出される遺伝子変異を有する例も多く、通常のHCMとは異なる要因でその病態を形成していることが示唆された。これらをまとめ、臨床データと関連付けて文献報告を行なった(文献3)。小児HCM、心室中部閉塞型HCMの遺伝子解析結果について、世界的にもまとまった症例数での報告はこれまでなく、意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサーを用いた既知原因遺伝子群の網羅的解析の系を用いて、多くの原因変異を見出し臨床へ報告、還元を行っている。また、同定した新規の心筋症原因遺伝子Xに関して、肥大抑制メカニズムの解明のため、細胞レベル、個体レベルでの解析を進めている。これらの成果は、学会報告及び、論文を発表あるいは投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
特に新規に得られた心筋症原因候補遺伝子Xについて、細胞モデル、また、個体モデルを作成し、それぞれのレベルでの詳細な機能解析を分子生物学的、細胞生物学的に行い、肥大抑制メカニズムの解明を網羅的に進めている。
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Research Products
(3 results)