2018 Fiscal Year Research-status Report
着床後に確立する体細胞性インプリントDMRの確立制御因子同定と分子機構の解明
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17K08687
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 教授 (30304885)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲノムインプリンティング / DNAメチル化 / メチル化可変領域 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、インプリント遺伝子の発現制御では、somatic DMR(sDMR)も重要であり、疾患の病態に関与していることを明らかにしてきた。しかし、発生初期の着床後にsDMRが確立する分子機構については未解明である。本研究では、マウスのインプリンティング座位Igf2r/Airn領域を対象にsDMR確立に関する制御因子を同定し、その分子機構を明らかにすることを目的とする。 一次スクリーニングで得られた6つの候補遺伝子に対してknockdown(KD)による二次スクリーニングを試みたが、KD効率が予想外に悪く、二次スクリーニングができなかった。そこで、CRISPR-Cas9システムを用いてknockout(KO)することした。gRNAとCas9を共発現するAll-in-oneベクターを作成し、エレクトロポレーションにてES細胞へ導入し、それぞれのgRNAについて複数のKOクローンを得た。標的部位におけるindelを確認したのち、インプリント遺伝子(Igf2r, Airn)のアレリックな発現状態およびDMRのメチル化状態を解析した。その結果、目的の遺伝子発現パターンを呈するクローンを複数取得することができたが、DNAメチル化パターンを解析したところ、未分化状態でDMRであるべきAirnプロモーター領域が脱メチル化していることがわかった。これは、エレクトロポレーションによるアーチファクトによるものと考えられたため、トランスフェクション試薬とレンチウィルスによるインフェクションを比較検討した。レンチウィルスによるインフェクションが若干効率がよいことがわかったため、あらためて6つの候補遺伝子を本法でKOして二次スクリーニングを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
shRNAによるKD効率が予想外に悪く、CRISPR-Cas9システムを用いてKOすることしたが、今度は遺伝子導入法(エレクトロポレーション)によるアーチファクトが問題となった。そこで、トランスフェクション試薬とレンチウィルスによるインフェクションを比較検討し、レンチウィルスによるインフェクションが若干効率がよいことがわかった。これらの検証に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.6つの候補遺伝子をあらためてレンチウィルスによるインフェクションでES細胞に導入し、二次スクリーニングを完了する。 2.二次スクリーニングで陽性となった遺伝子のChIP解析により、Igf2r/Airn領域のsDMRへの結合の有無および結合アレルを解析する。また、RNA免疫沈降法(RIP)によりAirn (noncoding RNA)への結合の有無を解析する。 3.クロマチン構造解析 制御因子自身に対する抗体を用いて、ChIA-PET法(Chromatin Interaction Analysis by Paired-End Tag Sequencing)を行い制御因子によるクロマチンループ構造を明らかにする。市販の抗体が使えない場合は、当該制御因子のC末端に3xFLAGタグを付加した細胞を作製し、抗FLAG抗体を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
各種試薬の節約、効率的な使用方法により出費を抑えることができた。また、講座費等で一部分を賄った。 次年度は、主として二次スクリーニング(細胞培養、DNAメチル化解析、遺伝子発現解析)およびChIP解析に必要な消耗品に研究費を充てる。その他、成果発表のための旅費、英文校正費等に使用する予定である。
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